トヨタ自動車とPreferred Networks(プリファードネットワークス/PFN)は、市場のニーズに応えるサービスロボットの早期実現を目指し、トヨタの生活支援ロボットHuman Support Robot(HSR)をプラットフォームとして共同で研究開発を行うことに合意したと発表した。
近年、ロボットの活躍範囲は産業用途から介護や物流領域と多岐におよんでいる。しかしひとり一人の生活に寄り添い、その時々で適切な判断や対応が求められるサービスロボットの分野については、未だに多くの技術的課題が残されている。
そこでトヨタとPFNは協働で、両社が持つ技術やノウハウを持ち寄り、一般的な生活環境の中でロボットが自ら学習し、さまざまなタスクを遂行できるレベルのサービスロボットの開発を目指す。
具体的な施策として、まずトヨタのHSRを数十台規模でPFNに貸与し、今後3年間で両社が連携して研究開発を行なう。開発に当たり、両社が持つ既存の知的財産等の情報も含め相互の技術を共有し、また共同研究の成果も両社が自由に活用可能とすることで、サービスロボットの実用化に向けた開発加速を図るという。
トヨタの未来創生センター長の古賀伸彦氏によると、「トヨタは、2004年頃より『人々の生活を支え、共生する』をコンセプトに、主に身体の不自由な方や高齢の方を支援するパートナーロボットの開発に取り組み、2012年には生活支援ロボットとしての基本的なプラットフォームを有するHSRを開発しました。HSRはこれまで国内外13カ国、49機関で研究開発に活用され、プラットフォームロボットとして高く評価していただいております。今後、よりお客様のニーズに応えるサービスロボット開発を目指すにあたり、世界トップレベルの知能化関連技術を有するPFNと、共同で研究開発を行えることを楽しみにしております」と述べた。
PFN代表取締役社長の西川徹氏も、「PFNは2014年の創業以来、深層学習技術を応用して自動車や産業用ロボットなどのハードウェアの知能化に取り組んでいます。CEATEC Japan 2018では、HSRに深層学習技術を応用し、不定形の物をつかむ/置く、動作計画を立てる、人の指示に対応するなど、全自動で部屋を片付けるロボットのデモンストレーションを行いました。HSRは優れたプラットフォームロボットであり、開発元のトヨタと共同開発に取り組むことで、ロボットが人の生活空間で働くために必要な機能の開発を加速させ、世界に先駆けてサービスロボットの実用化を目指します」と語った。
今後両社は、より多くの方々の生活の質向上に寄与できるよう、多様なニーズに応える賢さを持ち合わせたサービスロボットの研究開発に取り組むとしている。(編集担当:吉田恒)