学者ら名古屋市長へ抗議と企画展再開へ署名募る

2019年08月14日 18:13

 国内最大規模の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」のなかの企画展「表現の不自由展・その後」が中止を求める脅迫FAXなどから開催3日で中止になったことに対し、東大名誉教授の醍醐聡氏ら学者や弁護士らが企画展の再開を求めるとともに「多額の税金を使ったところで(慰安婦を象徴する少女像の展示を)しなくてもいい」など少女像撤去を求める抗議文を提出した河村たかし名古屋市長への抗議への署名活動を続けている。集まった署名は15日に持参し、『表現の自由』実現のため、再開を強く求める予定。記者会見も予定している。

 署名を呼びかける文書では「(各種報道によると)この企画展では慰安婦を象徴する『平和の少女像』、憲法9条をテーマとする俳句、天皇を含む肖像群が燃える映像作品など各地の美術館から撤去されるなどした20数展を展示」していた。

 この展示に対し「河村たかし名古屋市長は『あたかも日本国全体がこれ(少女像)を認めたように見える』などとし、撤去を求める抗議文を提出。愛知県によれば電話・メールなどでの抗議が多数寄せられるとともにテロ予告や脅迫の電話もあったとのこと」。このため「安心して楽しく鑑賞してもらうことが困難と判断し(主催者が)中止を決定した」。

 醍醐教授らは「名古屋市長が展示内容に介入したり、菅義偉官房長官が補助金交付の差し止めを示唆するなど、公権力による様々な介入やテロ・脅迫予告に屈して中止することは『表現の不自由』を雄弁に物語るもので、許されない」と提起している。

 そのうえで「河村市長の圧力は憲法の保障する『表現の自由』を侵害・蹂躙し、事実上の『検閲』ともいえるもので、直ちに撤回と謝罪をすること」。

 「大村知事、河村市長は企画展を直ちに再開すること、テロや脅迫などに屈することなく行政が毅然とした姿勢を示すことによって、憲法の保障する『表現の自由』を守るように努めること」を求めるとしている。(編集担当:森高龍二)