10月の消費税率引き上げに関連し景気動向に関心が集まっている。増税による景気腰折れの懸念は早くから多数出ており、政府も景気に対する増税ショックの緩和策を多数準備している。
11日、内閣府・財務省が法人企業景気予測調査(7月~9月期)の結果を公表した。7~9月期の「貴社の景況判断」のBSI(上昇と回答した企業の構成比から下降のそれを差し引いて算出される景況判断指数)をみると、大企業においては製造業で0.2のマイナス(下降)となっている一方で非製造業が1.8のプラス(上昇)となっており、全産業では1.1のプラスとなっている。中堅企業では0.5のプラス、中小企業では10.0のマイナスとなっており、中小企業では厳しい現況のようだ。10月~12月の見込みについては大企業が0.4、中堅企業4.5、中小企業が11.2のそれぞれマイナスと全ての規模で下降の見通しだ。
国内の景況判断について見ると、7月~9月現況が大企業で1.6、中堅企業で3.1、中小企業が14.7全てマイナスとなっている。10月~12月の見通しは、大企業で15.8、中堅企業で24.6、中小企業28.7のマイナスで現況7月~9月よりさらに大きく下降する見通しとなっている。来年1月~3月の見通しでは大企業が0.8、中堅企業が9.8、中小企業が19.6のそれぞれマイナスで10月~12月期に比べ大幅に改善される見込みとはいうものの下降の見通しは維持され、大企業を除いて現況7月~9月期の水準にまでも回復しない見通しとなっている。
雇用については従業員数判断のBSIが大企業で21.4、中堅企業が32.7、中小企業が29.4のそれぞれ大幅なプラス(不足気味)で、今後の見通しについては景気減速が見通される中、わずかに不足気味が緩和されるというものの引き続き高い水準の人手不足の見通しとなっている。
設備投資を設備判断BSIで見ると、現況判断は大企業で2.1、中堅企業4.6、中小企業9.1のそれぞれプラス(不足超え)で、2019年度の設備投資額は8.3%の増加の見込みとなっている。設備投資の対象を見ると、大企業、中堅企業、中小企業でソフトウエアが上位となっており、引き続きIT関連投資が堅調のようだ。
今後来年春までは国内景気減速、企業業績は増収・減益、設備投資堅調、雇用環境改善というまだら模様の景気動向になりそうだ。(編集担当:久保田雄城)