冬の節電対策で頭を悩ませる企業や家庭が多い中、光熱費収入で年間5万円を稼ぎ出す住宅も誕生している。
大きく変わったエネルギーに対する消費者の意識。省エネ対策が施された住宅に創エネ設備をプラスした住宅も多く市場に投入され、いよいよ本格的な”スマートハウス”普及への入り口に立ったとも言える今年だが、それを裏付けるように住宅用太陽電池の出荷量も大きく数字を伸ばしている。太陽光発電協会の調べによると、2011年度の住宅用太陽電池の出荷量は、9月までの第2四半期までで543,515キロワットとなっており、2010年度の出荷量の6割をすでに超えている。出荷量は2009年度(543,708キロワット)以降、加速度的に伸びており、今後は復興需要なども加わることが予想されることから、この市場は近い将来、ピークを迎えそうな勢いだ。
住宅市場において、エコハウスは早くから商品化され、年々競争も激化している。例えば大手でいうと、大和ハウスは、太陽光発電システムにリチウムイオン蓄電池と”HEMS”を加えたシステムのスマートハウス「スマ・エコ・オリジナル」を販売、トヨタホームも太陽光発電システムにエコキュート、蓄電池を加え、さらに”HEMS”で制御を行うスマートハウスを販売している。こちらには、2012年1月末に発売される「プリウスPHV」用の充電設備もあり、グループにトヨタ自動車が存在するという強みが活かされている。
そんな中、中堅ハウスメーカーのアキュラホームは業界初の試みとなる、初年度の光熱費収入5万円を補償するというスマートハウス「Meguru-Plus(めぐるプラス)」を2012年1月から期間限定で発売することを発表した。
「めぐるプラス」は長期優良住宅に認定された物件で、次世代省エネ基準のエコ住宅に太陽光発電システム、太陽熱温水器+エコキュートの給湯システム、オリジナル蓄熱床システム、高効率エアコン、LED基本照明を標準装備した商品だ。このモデルは創エネ設備が充実していることから”売電”により、年間で5万円の光熱費をプラスにできる(同社試算による)としている。万が一プラス収入が5万円を下回った場合、差額分を同社が補償する業界初の「光熱費収入補償」制度も導入(初年度のみ)する。また、販売戦略として、住宅チラシに各戸建の光熱費年間収支(同社試算)をデータとして見取り図脇に表示する新しい試みも始めた。当然、同社が得意とするローコストでの販売価格設定も実現されており、話題を呼びそうだ。
スマートハウスに必要な設備の性能差がなくなってきている現状に、新しい販売戦略を導入する試みが、消費者にどのように評価されるのか注目していきたい。