アジア通販サミット2019、盛況のうちに幕。未来型の事業へと発展する通販の今

2019年10月06日 10:16

画・決済速度、現金28秒、キャッシュレス12秒。非接触型8秒が最速。~JCBが実証実験。

阿部会長は、スピーチの冒頭で「通信販売は従来のモノを売るという事業から、サービス・文化を売る事業へとその範囲をますます広げ、未来型の事業へと発展を遂げようとしている」と述べた。

 9月25日、26日の2日間にわたって、 北海道札幌市で開催された「アジア通販サミット2019」が無事に閉幕した。

 アジア通販サミットは、3カ国の通販業界団体、「日本通信販売協会(JADMA)」「中国電子商会(CECC)」「韓国オンラインショッピング協会(KOLSA)」らにより共同開催される国際会議で各国の通信販売における最新の取り組みや課題を相互に共有し国際的な交流を拡大することを目的に開催されている。2012年のソウル大会から数えて第8回目となる今回も、優秀な取り組みを実践する事業者への授賞式や、各社の活動に関するスピーチが行われた。

 授賞式では、日本の企業からは、テレビショッピング賞に東海テレビ事業株式会社、インターネットショッピング賞は株式会社北の達人コーポレーション、モバイルショッピング賞はGMOペイメントゲートウェイ、越境EC賞は株式会社スクロール360、環境社会貢献賞には株式会社山田養蜂場、次世代コマース賞(Next Generation Commerce Award)は株式会社クラシコムがそれぞれ受賞した。

 それぞれの賞は対象となるメディアごとに分類されているが、中に一つだけ異質なものが混じっている。そう、山田養蜂場が受賞した環境社会貢献賞だ。通販と環境貢献には一体、どのような関係があり、このような賞が設けられているのだろうか。

 その真意は授賞式に先立ち、主催開催国である日本を代表してスピーチを行った日本通信販売協会の阿部嘉文会長の言葉に含まれている。

 阿部会長は、スピーチの冒頭で「通信販売は従来のモノを売るという事業から、サービス・文化を売る事業へとその範囲をますます広げ、未来型の事業へと発展を遂げようとしている」と述べ、各国の人々の文化を新たに創造し、リードして行く存在へと変化しつつあると語っている。

 今回、環境社会貢献賞を受賞した山田養蜂場は、みつばち産品の製造販売を通販事業として行っているだけではなく、太陽光発電による省エネへの取り組みや、全国の小学校へ書籍の寄贈などを行う「みつばち文庫」の活動、さらには国内だけでなく20年以上にもわたってネパールで行っている植樹活動、世界遺産保護活動など、多岐にわたる独自の取り組みが大きく評価された。

 企業の社会貢献活動としては、植樹自体はそんなに珍しいものではない。しかし、これだけ長くの期間にわたって継続している企業は稀だ。これはすでに、阿部会長の言葉にもあるように、ネパールの人々の文化を新たに創造し、リードして行くものであるかもしれない。また、みつばち文庫も、子どもたちの文化力を高めるためには大きな力となるだろう。

 しかも、こういった活動を通販事業者が行う意味は大きい。インターネットで何でも情報が拡散される昨今、インターネットを主戦場の一つにする通販事業者を検索した場合、活動が一般の人々の目にとまる確率は他の企業よりも圧倒的に多いに違いない。

 「アジア通販サミット2019」の大会2日目は、国際会議が開かれ、日本からは、北の達人コーポレーション代表取締役社長の木下勝寿氏や株式会社カタログハウス取締役の高遠裕之氏らが登壇して講演を行ったほか、中国、韓国の講演者に加え、タイ、シンガポールからの講演者も招かれ、各国の最新事情や目指すべき未来のビジョンについて語った。 国境を越えて、その国を代表する通販業者が集うこのサミット自体も、新しい文化の創造につながっていくのかも知れない。(編集担当:藤原伊織)