2020年、政権交代「再来」の年になるカギは

2019年12月29日 10:05

 かつて「美しい国、日本」をつくると標ぼうした安倍晋三総理。2019年、国民に示したのは「行政の私物化」、不都合な情報の隠蔽、客観的裏付け文書の廃棄、国会予算委員会への事実上の出席拒否(自民党が拒否することを確信して、国会に呼ばれれば国会質疑に応じるとうそぶく姿勢)だった。

 野党の委員会開催要請をひたすら拒否し、総理を守ることが最優先の今の自民党に浄化能力が見られない。国民にとって今の与党の体質は不幸であり、極めて深刻。石破茂・元自民党幹事長と考えをともにする自民議員を除いて、筆者の目には国民に目を向けた活動をしているのか、疑問に思わざるを得ない。

 桜を見る会の問題発覚以降、安倍総理の発言をどれほどの国民が信用しているだろうか。桜を見る会での説明に猜疑心を持つ国民は多い。説明の矛盾、ごまかしを感じる人の多さは総理の説明に納得できず「十分説明していると思わない」との回答がどの世論調査でも7~8割を占めることからも明らか。

 そんな中で始まる2020年の通常国会。冒頭から総理が当事者の「桜を見る会」とカジノを含む統合型リゾート(IR)担当元副大臣・秋元司衆院議員の収賄容疑での逮捕に荒れることが予想される。

 安倍総理の「追い込まれ解散」があるかもしれない。野党はそれを政権交代につなげなければいけない。立憲民主党の枝野幸男代表の呼びかけに立憲・国民両党の幹事長は選挙区調整も含め課題を協議しているが、すでに今夏の参院選挙で基本的な「共通政策」は合意しているはず。早くに前進させなければ『政権奪取』はない。

 市民連合と結んだ「共通政策」には両党のみでなく、社会民主党、社会保障を立て直す国民会議、日本共産党も合意している。

 (1)憲法9条改正に反対(2)安保法制(憲法に抵触する部分)の廃止(3)辺野古基地建設中止・環境の回復(4)地元合意なき原発再稼働認めず、原発ゼロの実現を目指す(5)総合的な税制の公平化(6)透明性が高く公平な行政の確立、内閣人事局の在り方再検討(7)国民の知る権利確保へ報道の自由の徹底を図るなどなど、教育や社会保障などを含め13項目にわたる。この公約実現だけでも自公政権との大きな対立軸になる。

 考えるべきは世論調査で自民党に次いで政党に支持を集めているのは立憲民主党という点。支持されるところは一定世論を汲み上げた政策や活動にある。他の野党は大同小異で歩み寄る度量と勇気が必要だろう。

 日本共産党は3~4%を維持している。議席を誇りながらも国民民主党は残念だが1%の政党支持率にとどまる低迷ぶり。社会民主党も歴史ある政党だが、低迷を続けている。党の歴史やプライドより、共通政策に基づき、立憲主義を取り戻し、民主主義国家として国民がプライドを持てる「まっとうな政治」実現のため『ひと固まり』になることを目指すべき。それぞれの野党に2020年は本気度が試される年になる。

 透明性が高く公平な行政の実現、世界に誇れる日本の実現には、自公政権に替わる政権樹立が必要との声は無党派層にも広がっている。選挙に1票を投じてもらうだけの信頼を野党が得られるかどうか、枝野代表の呼びかけにどう答えるかで決まるだろう。後ろがないことを自覚し、覚悟して臨むことを期待する。(編集担当:森高龍二)