イクメンたちのお正月。年末年始に問われる「家庭を明るくする」お父さんの過ごし方

2020年01月02日 09:53

イクメン

積水ハウスでは2018年9月より「イクメン休業」制度の運用を開始。対象となる全ての男性社員が1カ月以上の育児休業を100%取得している。

 年末年始の長期休暇。今年は、例年仕事納めとなる12月28日が土曜日で、それに加えて仕事始めの1月4日も土曜日のため、多くの企業で9日間にわたる大型連休となりそうだ。

 JTBが発表した「年末年始の旅行動向見通し」をみても、今回の年末年始に海外旅行を予定している人は前年比0.3%増の76万2,000人と、過去最高の予想となっており、大型連休を目いっぱい利用しようとする動きがみられる。ところがその一方で、国内旅行と海外旅行をあわせた延べ人数は3,002万8,000人と推計されており、前年比2%の減少が予想されているのだ。その理由はやはり、家計の問題。同社が実施した消費者を対象にした旅行動向アンケートによると、収入やボーナスの減少を理由に、出費を控えようとする傾向がみられるという。

 そこで問題となるのが、お正月休みの「家庭でのお父さんの過ごし方」だ。

 年末年始の長期休暇。否が応でも家庭にいる時間が長くなることを利用して、お父さんの株を上げることもできるのではないだろうか。それにはまず、家族がお父さんに何を求めているかを把握しておく必要があるだろう。

 今年、9月19日を「育休を考える日」に制定した積水ハウス株式会社〈1928〉が発行している「イクメン白書2019」によると、アンケート回答者の8割が育休制度には賛成と答えながらも、「夫に育休を取得させたい」と答えた女性は49.1%で半数を切っている。

 炊事や洗濯などの家事に関しては、慣れないくせに下手に手を出されるとかえって邪魔になったり、二度手間になることもあるので、あまり関わってほしくないと思っている傾向があるようだ。

 男性が考える理想のイクメン像は、「家事も育児も仕事も、そつなくこなすお父さん」だろう。ところが、。女性たちはそれほど多くを夫に求めているわけではない。

 それよりも、彼女たちが求めるのは「子どもたちの相手」だ。入浴させたり、外に連れ出したり、寝かしつけたり、子どもと一緒に過ごす時間を大切にすることの方が、妻の負担を軽減し、イクメンと認めてももらえるようだ。

 子どもの世話は体力勝負。仕事が忙しくて、休みの日以外は子どもの寝顔しか見たことがないというようなお父さんは特に、実際にやってみると、その大変さがよくわかるだろう。ただ入浴させて、髪を乾かしてやるだけでも、子どもは言うことを聞いてくれない。外出すれば、所構わず走り回る。寝かしつけようとしても、なかなか寝付いてくれない。多くの妻たちは普段、それらを家事とともに一手に引き受けてこなしているのだ。年末年始休暇の数日、子どもと出かけて、その苦労から妻を解放できるのではないだろうか。

 男性が子どもとの外出を考える時には「たまにしか一緒に遊べないから」と、遊園地やキャンプなど、何か特別な場所に出かけようとしてしまう。でも、毎日となると大変だし、長期休暇中はどこも人ごみで溢れかえっている。出費もかさむ。そうなると「外出」に対する心身のハードルも高くなり、考えるだけでもうんざりしてしまうのではないだろうか。でも、本当は近所の公園に連れて行くだけでも、子どもたちは喜んでくれるものだ。近所の公園なら、気持ちにも財布にも負担は少ないし、人ごみとも無縁だ。逆に、遠出するよりも、時間も節約でき、子どもと思いっきり遊べるのではないだろうか。特別な場所や経験ももちろん大事だが、それよりも、子どもたちにとってはお父さんと過ごす時間の方が大切であって、場所は大きな問題ではない。

 積水ハウスでは、2018年9月より「イクメン休業」制度の運用を開始し、運用から1年間で対象となる全ての男性社員253名が1カ月以上の育児休業を100%取得。男性の育休を推進しており、休業を申請する際には、上司との面談を実施し、業務の引き継ぎと育休中に家族のために何をするのかを記した計画書の提出を義務付けている。これは社員の育休中の動向を把握し、管理するためではなく、スムーズな業務の引き継ぎと育休中に家でしっかりと活躍する「目標」を根付かせるために行っているという。

 ゆっくりと寝正月で過ごしたいと思っているお父さんも多いことだろう。しかし、普段忙しいのは妻も同じだ。年末年始のうちの数日だけでも、しっかりとイクメンをして、妻を休ませてあげることも考えて欲しい。それはきっと、2020年も明るい家庭で過ごすための出発点になるはずだ。(編集担当:藤原伊織)