日本の労働生産性が低いと言うことは世界でも有名だ。特にホワイトカラー層の生産性の低さは有名である。これを裏側から見れば日本の労働時間は他国と比べ長く、その長時間労働に見合った価値が生産されていないと言うことでもある。現在、働き方改革というかたちで労働時間の短縮が図られているが労働生産性を向上させるものとしては十分な効果が出ているとは言いがたい。
日本は今後人口が減少して行くと見込まれている。日本の経済水準を維持するためにも労働生産性の向上は喫緊の課題であるといえるが世界の中での日本の労働生産性の水準は未だ低いものとなっている。そんな中、近年自動化投資が活発な製造業において下げ止まり感が出てきたようだ。
12月下旬、日本生産性本部がOECDデータベース等の分析・検証をもとに取りまとめたレポート「労働生産性の国際比較2019」を公表している。
レポートによれば、OECDデータに基づく2018年における日本の時間当たり労働生産性(就業1時間当たり付加価値)は46.8ドルとなっている。これは米国の6割程度で、OECD加盟36カ国中の順位では21位となる。名目ベースでみると前年から1.5%の上昇が見られたが順位の変更までには至っていない。また主要先進7カ国でみると最下位で、この最下位は1970年から半世紀近くにわたって続いている状況だ。
1人当たり労働生産性は、8万1258ドルで、英国の9万3482ドルやカナダの9万5553ドルをやや下回る水準だがOECD加盟36カ国中の順位は前年と同じ21位となっている。
製造業について見ると、就業者1人当たり付加価値である労働生産性水準は9万8157ドル、為替レート換算で1104万円となっている。これは米国の7割程度であるが、OECD主要31カ国の中での順位は14位となる。近年、為替レートの影響でドルベースの水準は伸び悩んでいたものの今回5年ぶりの上昇となった。レポートでは「若干ながら順位の下げ止まりの兆しがみえる」と評価している。
世界の中での順位では未だ低位の状態であるというものの、金額ベースでは時間当たり労働生産性や製造業での1人当たり労働生産性で上昇傾向が見られ僅かながらも改善の兆しが見られるようだ。(編集担当:久保田雄城)