2018年からの世界経済の減速を受けて景気回復の腰折れが懸念されてきた。しかし、内需関連の指標は堅調で輸出関連製造業を除き景気減速の心配は無いとの見方が強かった。19年に入っても雇用の安定などを根拠に消費増税後も消費回復は底堅く推移するという見方が多数派であったといえる。
しかし、10月に入ってからの台風等の天候の不順等により様相は一変したようだ。順調に回復してきた消費は10月以降明らかに減速傾向にあることが政府統計からも明らかになったと言える。
7日総務省が家計調査報告書の2019年、月例、四半期、年平均が公表された。消費支出の19年平均を総世帯で見ると1世帯あたり24万9704万円で、前年に比べ名目で1.3%増加、実質で0.7%増加となっており、二人以上の世帯では、1世帯あたり29万3379円、名目で2.1%増加、実質0.9%増加となっている。年全体としてはプラス成長だ。
しかし、10~12月期の平均を見ると総世帯で24万7264億円、前年同期比では名目で3.0%の減少、実質で3.6%の減少、前期比では実質7.2%の大きな減少だ。二人以上の世帯では29万3272円、前年同期比で名目2.3%の減少、実質2.9%の減少、前期比6.5%の減少となっており、10月からの第4四半期で家計消費が大きく落ち込んでいるのがわかる。
月別に見ると12月の二人以上の世帯で、1世帯当たりの消費支出は32万1380円、前年同月比は名目で2.4%の減少、実質で3.3%の減少となっている。前月比でも実質1.7%の減少となっている。
実質の前年同月比の推移を見ると9月に10.5%の増加であったものが10月に4.0%の減少、11月は1.4%の減少となっており、前月比では9月が5.5%の増加、10月に11.5%の2桁の減少、11月に2.6%とプラスに戻ったものの12月には再び1.7%の減少となっており、明らかに10月以降家計消費が減速しているのがわかる。
前年同月比の3カ月移動平均も12月にマイナス4.0%と明らかにマイナス基調だ。この減速基調の要因は統計だけからは分からないが10月の大きな落ち込みから行って消費税増税と台風等の天候不良が背景にあると想像できる。
一方実収入を見ると、総世帯の数字で1世帯当たり51万2534円、名目で4.0%の増加、実質で3.4%の増加と家計の状況は底堅いと言え回復も期待できるが、20年に入ってからの新型肺炎の影響による内外需の減速などマイナス要因が続き、しばらく弱含みで推移しそうだ。(編集担当:久保田雄城)