4月7日、日本政府は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、ついに緊急事態宣言を出した。実施期間は大型連休最終日の5月6日までとなるが、状況次第では延長も充分にあり得るだろう。
今回の緊急事態宣言は、3月14日に施行された「改正新型インフルエンザ等対策特別措置法」に基づき、「国民の生命や健康に著しく重大な被害を与える恐れ」と「全国的かつ急速な蔓延により国民生活や国民経済に甚大な影響を与える恐れ」という二つの要件を満たしたことで、政府は新型コロナウイルスの感染拡大に備えるため、緊急事態宣言に踏み切ったものだ。
これまでにも外出を自粛するムードは高まっていたが、この緊急事態宣言によってさらに、在宅勤務や休校の延長が増え、自宅で過ごす時間が多くなるだろう。
では、在宅の時間をいかに有意義に過ごすか。テレビやネットのニュースで状況を把握することも大切だが、そればかりだと気が滅入る。適度に息抜きをしないと精神的にも辛くなって、免疫力も下がってしまうかもしれない。
そこで今、人気が高まっているのが音楽のストリーミングサービスだ。好きな音楽を流しながら仕事ができるのは、在宅勤務だからこその環境。中には、ソニーグループの株式会社レーベルゲートが運営する「mora」のような、超高音質のハイレゾ音源を配信しているサイトもある。良い音でお気に入りの音楽を聴きながら仕事に励めば、能率も気分も上がるだろう。とはいえ、「良い音」とはどういう音を言うのだろう。
これについては、電子部品メーカー大手のロームが、同社サイトのブログ記事で分かりやすく解説している。「【入門者向け】オーディオの仕組みと技術を解説」と題された記事によると、音質とは、イヤフォンやヘッドフォンだけではなく、そもそもの音源の良し悪しも含めた、オーディオシステム全体の中で左右されるとある。近年は、スマートフォンで音楽を聴き、それに接続するイヤフォンにこだわる人も増えているが、それだけでは音質は語れないということだろうか。
音質には、音が歪まず、全ての音域をきちんと鳴らすことができ、耳障りなノイズが発生しないという「絶対的な定義」がある。ところが、例えば高音質なCDでも、パソコンで取り込んで、それをMP3などの別のフォーマットに非可逆に変換すると、その際に音源が圧縮されてしまい、忠実に再生できなくなってしまう。これでは、いくら高価な器具を用いて聴いても、「良い音質」とは言い難くなる。
また、どんな音楽を聴くのかによって、適した音質も変わる。クラシック音楽はさまざまな音域や音色をクリアな音で臨場感たっぷりに聴きたいが、ダンスミュージックなどはクリアな音よりも迫力のある重低音の方が心地良い。つまり、音源を忠実に再生できることはもちろん、聴き手の要求に応える最適な音を出せることが、良いオーディオシステムの条件となる。
デジタルオーディオの場合、そこで重要になってくるのが、わずか1センチ四方にも満たない小さな電子部品だ。前述のロームが、オーディオ機器メーカーでもないのに、わざわざブログ記事にしている理由もそこにある。同社は電子部品メーカーの中でもとくに「音」に関連する電子部品開発に対するこだわりが強く、ハイエンドのオーディオ機器やカーオーディオなどでも採用されている。特に、同社がハイエンド向けに出している「MUS-IC」というブランド名のICは、ピュアオーディオとして有名なラックスマン社の製品にも搭載され、高い評価を得ている。
カリフォルニア州立大学バークレー校の科学研究センターの研究報告によると、音楽にはストレスを緩和し、免疫グロブリンA(IgA)の増加も促すという。ストレスが溜まりがちなご時世だからこそ、良い音楽を良い音質で聴いて、心も身体も健康であるよう心掛けたいものだ。(編集担当:藤原伊織)