【日経平均】11500円台にもタッチして昨年来高値を更新

2013年02月20日 19:43

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本日の上昇セクターはパルプ・紙、電力・ガス、保険、石油、陸運、その他金融など。

 三連休明けのNYダウは53ドル高で終値は再び14000ドルに乗せ、史上最高値まであと125ドル。20日朝方の為替レートはドル円は93円台後半、ユーロ円は125円台前半で、今週は3日連続で朝方は同水準。「G20をうまく乗り切ったのにどうして円安が止まるんだ?」という声が聞こえてきそうだ。注目の日銀次期総裁人事は、日経新聞朝刊が元経済企画庁の岩田一政氏と元財務省の武藤敏郎氏の2人の元副総裁に絞られたかのような書き方で、両人ともリフレ政策に対しては穏健派とみられ、それが為替の様子見ムードの一因になっているという見方もある。

 好調だった商いも前日は陰りを見せ株価も為替同様に停滞するかと思われたが、日経平均は113.31円高の11485.65円で始まり、すぐに4年5ヵ月ぶりの11500円台にタッチした。午前8時50分に「下手に改善すると円高になるから悪いのは歓迎」と苦笑交じりに語られる1月の貿易統計が発表され、天然ガスの輸入急増で7ヵ月連続の貿易赤字になり赤字幅は過去最大という市場関係者には“喜ばしい”結果。それでもドル円が94円台にタッチするほどの円安にはならなかったが、日経平均はNYダウの上昇やドイツのZEW景況感調査の良さを反映し、11440円まで下げる局面もあったものの底堅い展開が続く。午後2時台の円高も問題にせず、終値は95.94円高の11468.28円で昨年来高値を更新して終えた。値上がり銘柄数は1300を超え、TOPIXも+10.09の973.70で昨年来高値更新。しかし商いは28億株、1兆8453億円とやや低調なままだった。

 上昇セクターはパルプ・紙、電力・ガス、保険、石油、陸運、その他金融など。下落セクターは鉄鋼、ゴム製品、証券、海運の4業種にとどまった。

 輸出関連株、内需系を問わず幅広く上昇。電力株は日米首脳会談で原子力政策の見直しが表明されるという報道で買われ、東京電力<9501>が売買高4位、値上がり率12位。伊方原発の7月再稼働を想定しながら10.94%の値上げを申請した四国電力<9507>が値上がり率19位に入った。4月の国内生産計画を1割増やしたトヨタ<7203>は80円高。ホンダ<7267>は10円高。「プレステ4」期待が高まってもソニー<6758>は4円高だったが、パナソニックは<6752>は21円高。NEC<6701>は11円高で久々の2ケタ上昇だった。内需系の食品株は味の素<2802>は26円高。ビールのアサヒGHD<2502>は48円高、キリンHD<2503>は43円高で、ともに昨年来高値を更新した。メガバンクは小動きだったが地銀の横浜銀行<8332>は17円高と買われた。

 この日、派手にランキング入りしたのが太陽光発電関連のサニックス<4651>で、昨年来高値更新の55円高で値上がり率3位、売買高5位、売買代金6位と大商いだった。200円高の信越化学<4063>は日経平均を大きく引き上げた。一方、通期最終赤字見通しを180億円から440億円に下方修正した日新製鋼HD<5413>は値下がり率9位の24円安だった。

 クレディスイス証券が投資判断を引き上げた精密3銘柄のキヤノン<7751>は50円高、セイコーエプソン<6724>は42円高、ブラザー工業<6448>は43円高。野村証券が「バイ継続」として目標株価を引き上げた保険3銘柄の東京海上HD<8766>は135円高、NKSJHD<8630>は107円高、MS&AD<8725>は54円高。大手証券のレーティングや投資判断はおろそかにできない。

 資本異動にからんだ動きでは、ヤクルト本社<2267>がダノン幹部が敵対的買収の可能性を否定との報道を受けて値下がり率3位の125円安。JT<2914>も政府保有株の年度内早期売却の動きが出て30円安と売られた。公募増資とCBで351億円を調達すると報じられた荏原<6361>は希薄化懸念で値下がり率1位の31円安。KDDI<9433>はグリー<3632>株800万株の売却を決めて100円高。第2位株主からの大量放出なのでグリーは12円安になった。同業のDeNA<2432>は通期で最高益を更新する見通しで27円高。ガンホー<3765>はこの日も買いの勢いが衰えず、株価が一時300万円を超え時価総額が日本マクドナルド<2702>を追い越した。「100円マック」をコツコツ売るよりもゲームを一発当てるほうが大きい、か。

 今日の主役は業種別騰落率で5位になった内需系の定番「陸運株」。含み資産株でもある鉄道はJRも私鉄も朝から海外勢とみられる買いで売買がふくらみ、下落銘柄は0。変わらずは相鉄HD<9003>と新京成<9014>だけだった。JR東日本<9020>は140円高、JR西日本<9021>は155円高、JR東海<9022>は220円高。私鉄で値上がり率が大きかったのは30円高の京急<9006>、8円高の名鉄<9048>、20円高の京王<9008>、10円高の近鉄<9041>、13円高の東急<9005>など。陸運株の一角で27円高と続伸したヤマトHD<9064>が買われた理由は有力顧客の「アマゾン効果」で、昨年、佐川急便に代わりアマゾンのメイン配送業者になった。前日に明らかになったアマゾンジャパンの売上高7300億円は、大手小売業ではビックカメラ<3048>、ケーズHD<828>より多くエディオン<2730>に次ぐ規模で、数年以内に8000億円台のダイエー<8263>やファーストリテイリング<9983>あたりにも迫りそうな勢い。物流センターを盛んに建設するなど日本国内で積極的に投資しており、自動倉庫関係や「キンドル」がらみの電子書籍関係など「アマゾン関連銘柄」というジャンルも生まれそうだ。(編集担当:寺尾淳)