【日経平均】ドル円の値動きと息を合わせ234円の大幅高

2013年02月18日 20:34

 アメリカでは三連休前だった前週末15日のNYダウは13900ドル台割れ寸前から大引け前の「午後3時台のリカバリー」を演じ終値8ドル高。日米とも金曜日には何かある。モスクワのG20財務相・中央銀行総裁会議の共同声明は「通貨の競争的な切り下げを回避する」という文言が盛り込まれたが、日本が名指しされる事態は避けられ、アベノミクスは世界から承認された。18日朝方の為替レートはドル円は93円台後半、ユーロ円は125円台前半で前週末より円安だが、G20という「のるか、そるか」の大イベントを乗り切った後だけに、もう少し円安が進んでもいいのにという意外感もあった。

 日経平均始値は144.39円高の11318.22円で、前週末の下落分を取り戻した。日経平均は11300円台前半から後半、11400円台へと徐々に切り上げる展開で、ドル円も94円に乗せた。春節休暇明けの上海市場が上昇で寄り付いた後に動き出し、どうも朝方は「上海待ち」だったらしい。後場はドル円が94円をはさんで上へ下へと動けば、日経平均も11400円をはさんで上へ下へと息の合ったステップを見せ、終値は234.04円高の11407.87円だった。TOPIXは960台に乗せている。しかし、売買高は31億株で売買代金は1月30日以来12営業日ぶりの2兆円割れで、18日のNY市場が休場という事情もあり「40億株・2兆円」ラインには届かなかった。

 東証1部の値上がり銘柄は1542で全体の9割以上もあり、業種別騰落率は全業種がプラス。値上がり率が大きかったのが銀行、パルプ・紙、不動産、倉庫、ゴム製品、保険などで、小さかったのが空運、電力・ガス、輸送用機器、その他金融、機械などだった。

 輸出関連の主力銘柄は円安の進行で前週末から値を戻すものが相次いだ。電機株は、ソニー<6758>は16円高、パナソニック<6752>は2円高。東芝 は10円高で売買高9位、売買代金12位と買われた。シャープ<6753>はS&Pが債券格付けを下げたため前場は売られたが、後場は戻し9円高。一方、自動車株はトヨタ<7203>が60円高、日産<7201>が18円高、ホンダ<7267>が50円高だったが、マツダ<7261>が1円安、スズキ<7269>が12円安、三菱自動車<7211>が値下がり率14位の2円安と、高安まちまちだった。

 「G20は日本の金融緩和を承認」と解釈され騰落率1位の銀行株は三大メガバンクが揃って好調なら、地方銀行もじもとHD<7161>が19円高で値上がり率12位に入り、横浜銀行<8332>、千葉銀行<8331>、スルガ銀行<8358>、鹿児島銀行<8390>が昨年来高値を更新した。新生銀行<8303>は売買高4位で18円高、あおぞら銀行<8304>は売買高8位で9円高。

 金融緩和の恩恵をたっぷり受ける騰落率3位の不動産株は、三井不動産<8801>が78円高、三菱地所<8802>が82円高、住友不動産<8830>が87円高と大手が買われた他、東京都心でビル再生事業を手がけるサンフロンティア不動産<8934>がストップ高で値上がり率トップに立った。

 「GAPを買収か?」という一部報道でファーストリテイリング<9983>は昨年来高値を更新し530円高。買収資金の調達はどうするかなど懸念材料もあり「噂で買われ、事実で売られる」パターンか。ファナック<6954>が310円高、東京エレクトロン<8035>が175円高、京セラ<6971>が130円高、アドバンテスト<6857>が60円高などこの日は値がハイテク株が買いを集め、日経平均を押し上げた。15日に自動車用が好調で最終黒字63億円という12月期決算を発表したマブチモーター<6592>は315円高で昨年来高値を更新した。

 値上がり率ランキングでは、ヤマダ電機<9831>傘下のベスト電器<8175>が20円高で4位。ゴールドマンサックスがレーティングを中立から買いに変更した大日本スクリーン<7735>は48円高で8位に入った。

 一方の値下がり率ランキングでは、ダイユーエイト<2662>が秋田県のホームセンター日敷との資本・業務提携が嫌気され38円安で4位、パソナ<2168>はみずほ証券の目標株価引き下げのショックが尾を引き3日続落して5位。日揮<1963>も9位と売られた。

 前場、DeNA<2432>が3ケタ安になりグリー<3632>も昨年来安値を更新した。その要因はソーシャルゲーム関連への短期投資資金がジャスダックのガンホー<3765>に向かったことで、こちらは株価が20.26%上昇し昨年来高値を更新した。「パズル&ドラゴンズ」が大ヒットし14日発表の12月期決算が絶好調。1から10株の株式分割も発表していた。後場はガンホー株がストップ高で約定できないせいなのかDENAもグリーも値を戻し、それぞれ39円高、38円高で引けた。DENAは売買代金4位、グリーは11位の大商い。

 似た現象がブライダル業界の銘柄でも起き、ベストブライダル<2418>が好決算を背景にストップ高で昨年来高値を更新し値上がり率2位に入ったのに対し、ワタベウエディング<4696>は値下がり率15位と売られた。

 今日の主役はゴム製品が業種別騰落率で5位だった「タイヤメーカー」。自動車関連の堅実派だが、この日は昨年来高値更新が続出した。ブリヂストン<5108>が70円高、横浜ゴム<5101>が49円高、住友ゴム<5110>が40円高。東洋ゴム<5105>も18円高と買われた。世界の自動車生産の回復で新車需要は上向きで、国内では低燃費タイヤに履き替えるユーザーが多く市販用が値上げしても売れている。そのため前週に12月期決算の発表を行った横浜ゴムも住友ゴムも東洋ゴムも純利益は過去最高だった。大引け後に12月期決算を発表したブリヂストンは純利益66.7%増で、今期は2ケタ増収増益で22円という大幅増配を見込む。今後、中国でも順調にタイヤ需要が回復したら、各社から通期業績見通し上方修正の発表が相次ぎそうだ。(編集担当:寺尾淳)