【日経平均】35円安で「NTねじれ現象」再発

2013年02月19日 20:01

 18日のNY市場はプレジデント・デーの祝日で休場。19日朝方の為替レートは、ドル円は93円台後半、ユーロ円は125円台前半で、前日朝方とあまり変わらない。円安一服ムードの中、日経平均は71.42円安の11336.45円で始まった。その後は前日の後場と同じように10400円をはさんで浮いたり沈んだりで、値動きが堅実だったTOPIXとの「NTねじれ現象」もたびたび発生した。

 この日も政治家の発言が為替レートと日経平均を振り回す。麻生財務大臣が「外債購入も日銀法改正も考えていない」と発言して一時、円高に振れる場面があった。1月の日銀の金融政策決定会合の議事要旨が公開され、複数の政策委員が「2%のインフレ目標達成は困難」と発言したと明らかになったことも、アベノミクスの先行きに不安を与え円高・株安の要因になっていた。

 日経平均終値は35.53円安の11372.34円。値上がり銘柄1075は値下がり銘柄496の倍以上あり、中・小型株はプラスだったので、TOPIX終値は+0.92の963.61。終値まで「NTねじれ現象」だった。売買高は今年初めて30億円を割って26億株、売買代金は1兆6834億円で商いは今年最低になった。

 ゴム製品、石油・石炭、建設、パルプ・紙、海運、陸運などの業種が上昇し、電気・ガス、電気機器、情報・通信、輸送用機器、空運などの業種が下落した。

 この日は大型株が不調で、トヨタ<7203>は45円安、ホンダ は15円安。自動車で良かったのは富士重工<7270>の45円高ぐらい。ファナック<6954>は620円安で値下がり率3位になり、105円安の東京エレクトロン<8035>、100円安の信越化学<4063>、80円安のアステラス製薬<4503>、40円安のソフトバンク<9984>などとともに日経平均をマイナスに押し下げた。SCEが「PSヴィーダ」を1万円値下げするソニー<6758>は後場に値を戻して22円高だった。シャープ<6753>は8円高。買われた大型株は62円高の花王<4452>、53円高のキリンHD<2503>、55円高のヤマトHD<9064>など内需系が多かった。

 前日発表の本決算の通期業績見通しがアナリスト予想を上回ったブリヂストン<5108>は人気を集め、後場一段高の265円高で値上がり率4位、売買代金3位。他のタイヤメーカー株も連れ高した。プラント建設大手の日揮<1963>、千代田化工<6366>は大幅高だった。

 売買代金2位のDeNA<2432>は98円安で値下がり率6位だったが、ヤフー<4689>と共同でゲーム開発新会社設立を発表したグリー<3632>は30円高で売買代金10位と買われた。ヤフーも株価を上げている。

 今日の主役は「農業」。安倍首相が前日の産業競争力会議で、「成長分野と位置づけ、産業として伸ばす」「構造改革を加速し、農産品、食品の輸出を拡大する」「「『日本の農業は弱い』という思い込みを変えることが重要だ」と述べた。首相訪米前にTPP問題の焦点の農業でオバマ政権への「お土産」を用意したいという思惑がありそうだが、農産物の生産・流通、種苗、農業機械、農薬、化学肥料、飼料などの農業関連銘柄は素直に反応し、前場は値上がり率ランキングをにぎわせた。値上がり率9位、売買高8位に22円高の井関農機<6310>が入り、日本配合飼料<2056>は7円高、コープケミカル<4003>は6円高。その他、クボタ<6326>、協同飼料<2052>、北興化学<4992>、片倉チッカリン<4031>、クミアイ化学<4996>、日本農薬<4997>、イハラケミカル<4989>、サカタのタネ<1377>、ホクト<1379>、ヤマタネ<9305>、雪国まいたけ<1378>などが揃って株価を上げていた。日産化学<4021>は自社株消却も発表し後場一段高の32円高だった。農業資材販売に力を入れるコメリ<8218>は40円高、農場を持つワタミ<7522>も19円高。農業関連銘柄は「社歴は古いが平成はずっと低位株」が多く、なかなか表舞台に出てこない。総理大臣のおかげで突然、クローズアップされたが、後場の株価の下がりっぷりを見るとブームは1日限り有効か。(編集担当:寺尾淳)