新型コロナの影響で2月から景気の失速が起こっている。当初はインバウンド関連が主なものであったが、2月下旬に政府による外出自粛要請があってから消費全般の低迷が生じ始めた。経済活動の自粛は人々の仕事や収入を奪い、それがまた消費の節約ムードを助長するという悪循環の中にある。当初は消費者と対面する小売やサービス部門の低迷が主だったが徐々にそこへ商品を供給する製造部門での出荷レベルにも、特に景況を表す耐久家電製品の出荷レベルまで影響が出始めたようだ。
5月26日、JEITA(電子情報技術産業協会)が4月の「民生用電子機器国内出荷実績」を公表している。レポートによれば、4月における民生用電子機器の国内出荷金額は820億円で前年比85.1%の落ち込みとなった。
分野別に見ると、映像機器が377億円で前年比89.7%、オーディオ関連機器は52億円で同67.7%、カーAVC機器は390億円、同83.8%と全ての分野で大きな落ち込みとなっている。しかし、映像機器では薄型テレビが352千台と前年比で106.1%と増加になっている。サイズ別でみると、29型以下が47千台で前年比68.6%、30~39型が87千台、100.3%、40~49型が115千台、前年比116.5%、50型以上が102千台、前年比133.4%と大型テレビで好調なようだ。
オーディオ関連ではシステムオーディオは5万8000台、前年比57.6%、スピーカシステムは6万台、73.1%、ICレコーダは3万2000台、40.9%、ラジオ受信機は7万4000台、70.2%、ステレオヘッドホンは47万6000台、73.7%と全ての製品で落ち込んでいる。
カーAVCでもカーナビゲーションシステムが32万3000台、前年比65.2%、カーAVメインユニット17万8000台、80.5%、カースピーカは142万1000台、65.9%と大きな落ち込みだ。ただし、ETC車載ユニットは19万8000台で前年比72.1%と縮小したものの、ETC2.0(DSRC)対応車載ユニットでは7万1000台で前年比102.7%と24ヶ月連続でプラスとなっている。
景気の全般的後退と先行き不透明の強まりで消費者の節約ムードは強まっていると言われる。小売店レベルでの低迷が既に工場レベルにまで波及しているようだ。そんな中、大型テレビが好調だが、これは外出自粛によって自宅にいる時間が長くなったためであろうか。新型コロナ問題はバイオメディカルのレベルで解決されなければ人々の先行き不透明感も払拭されず、しばらく生産の低迷も続きそうだ。(編集担当:久保田雄城)