日本学術会議の会員推薦候補にあった105人リストから安保法制や共謀罪、特定秘密保護法など安倍政権時代に政府政策に学術的立場から批判的発言を行ってきた学者6人を除外した人物が杉田和博官房副長官の関与だった可能性が高い。
時事通信社が12日夜の電子版で「除外の判断に杉田和博官房副長官が関与していたことも判明した。関係者が12日、明らかにした」と報じた。一方で、総理は事前に6人除外について説明を聞き、知っていたとの報道があり、どういう権限で、なぜ除外したのかを含め、詳細な説明が求められることになる。また「名前は見ていない」としていた菅義偉総理も名前はリストでは見ていなかったにせよ、決裁を求める起案書に添付された資料では105人の名前があったほか、事前に6人の名前は説明を受け、認識していたことになる。経緯の説明が必要だ。
杉田官房副長官に関しては前川喜平元文部科学事務次官が自ら次官時代に文化審議会文化功労者選考分科会委員の候補者リストを杉田氏に持参したところ、政治とは関係なく、実績と専門性に着目して選ぶものであるのに『安倍政権を批判したから』と二人の候補を変えるよう言われた、と週刊朝日はじめマスコミ数社のインタビューに答えている。
政府説明の「総合的、俯瞰(ふかん)的」とは「政府方針に沿わない思想信条や政権批判する学者を外すこと」を言うのか、これこそ憲法が保障する「学問の自由」を侵害する違憲行為につながるし、学者の自由な発言、発表に対して委縮させる、民主主義にとって基盤を棄損する行為につながりかねない重大問題と言わざるを得ない。事実関係について、杉田官房副長官による説明も求められよう。(編集担当:森高龍二)