弁護士の山添拓参院議員は日本学術会議の会員推薦リストから総理決裁起案書段階で任命されなかった6人が除外されていたことを総理が事前に知らされていたことやその判断に杉田官房副長官が関与していたことが事実なら菅義偉総理が9日の内閣記者会インタビューで話した『推薦段階での名簿はみていない』も『詳しく見ていなかった』も嘘になる」とツイッターで発信。
そのうえで「菅氏が事前に知らないはずはない」と指摘し「直ちに、洗いざらい明らかにすべきだ」と事実関係を国民の前に示すべきだと求めた。
京都弁護士会は13日までに菅義偉総理の日本学術会議会員任命拒否は「違法・違憲」とするとともに、日本学術会議の推薦通りに任命するよう求める会長声明を発表した。
声明で「日本学術会議は『わが国の科学者の内外に対する代表機関として、科学の向上発達を図り、行政、産業及び国民生活に科学を反映浸透させることを目的とする』(日本学術会議法2条)。そのために、『独立して』、(1)科学に関する重要事項を審議し、その実現を図ること、(2)科学に関する研究の連絡を図り、その能率を向上させることをその職務とし(法3条)、科学に関する様々な事項について政府の諮問を受け(法4条)、政府に勧告をすることができる(法5条)。このように、同会議は科学的知識の『連絡』や『能率向上』、科学の『審議』及び『実現』を図ることや政府の諮問を受けて勧告するために存在しているものであり、まさに憲法上の学問の自由(憲法23条)を多面的に実践する会議体であることは、上記法文上明らかである」と根拠を明確に示している。
また「科学者の内外に対する代表機関として科学の向上発達を図り、国民生活に科学を反映浸透させることを担う同会議は、とりわけ政府からの高い独立性が保障される必要がある」と政治の不当な介入は許されないとしている。
また「日本学術会議の高い独立性は、法においても明確に規定されている。内閣総理大臣は、同会議を管理及び監督するものではなく、ただ『所轄』するに過ぎない(法1条2項)。また、同会議の会員は、同会議の推薦に『基づいて』内閣総理大臣が任命する(法7条2項)と規定されている。その推薦の基準とされるのは、『優れた研究又は業績』(法17条)であるが、その基準を満たしているかどうかを適切に判断しうるのは同会議であるから、内閣総理大臣の自由な任命拒否は予定されていないと言わざるを得ない」と政府の主張に正当性がないことを示した。
また「菅総理は、本件の任命拒否について、『総合的、俯瞰的活動を確保する観点』からであるなどと説明しており、その点においてすでに法の解釈運用を誤り、法違反を犯している。それに加え、菅総理は本件の任命拒否の具体的な理由については全く説明していないが、具体的な理由の説明がないまま人文社会科学系の会員候補者のみの任命を拒否したという事実関係からは、菅総理が今回の任命に際して、不正行為があったかどうかというような外形的事情ではなく、会員候補者の研究内容や思想内容にまで立ち入って検討し、その内容ゆえに任命を拒否したものと強く疑われる」と指摘。
そのうえで「具体的な理由を示さない任命の拒否自体が、日本学術会議における会員の学問の自由を含む個々の研究者の学問の自由及び表現の自由を侵害するものとして違憲と言わざるを得ない」とし「同会議の推薦どおりに任命するよう強く求める」と任命し、違法・違憲状態を解消するよう求めている。学問の自由確保へ、政府の逃げは許してはならない。(編集担当:森高龍二)