10月27日からは読書週間。2020年はコロナ禍の影響で、読書機会が増加傾向

2020年10月17日 09:56

プックルさんちは大さわぎ

10月27日から11月9日迄の2週間は、第74回「読書週間」だ

 読書の秋。10月27日から11月9日迄の2週間は、第74回「読書週間」だ。昨年、文化庁が発表した平成30年度「国語に関する世論調査」の結果によると、1 か月に1冊も本を「読まない」と回答した人は47.3%。また、67.3%の人が「読書量は減っている」と回答している。ところが今年に入って、新型コロナウイルスの影響で自宅で過ごす時間が増えたことなどから、読書の機会が少し増えつつあるようだ。オンラインメディアのハフポスト日本版が実施したTwitterアンケートでも、コロナ禍で読書量が「増えた」と回答した人が39.3%となっている。

 とはいえ、書籍と雑誌を合計した紙出版物の販売はやはり、年々減少傾向にある。出版業界の調査・研究機関である全国出版協会・出版科学研究所の調査によると、2019年の推定販売金額は前年比4.3%減の1兆2360億円で15年連続のマイナス記録を更新している。一方、電子出版市場は好調で、2019年の電子出版市場は前年比23.9%増の3072億円で、初めて3千億円を突破している。中でも電子コミックが同29.5%増の2593億円と絶好調だ。近年はコミックもスマホアプリ等で読む人が増えているという。

 では、紙の書籍がこのまま淘汰されていくかというと、そうとばかりも言い切れない。文庫本や文芸、生活実用書、参考書等が低迷する一方、ビジネス書、新書は前年の販売を上回っている。また、児童書も紙媒体での売上をキープしているようだ。

 紙の本には、ページをめくるときのワクワク感や物語の没入感など、電子書籍にはない温もりや優しさがある。そんな紙の本だから伝わるメッセージを子どもたちに届けようとする、企業の社会貢献活動もある。例えば、株式会社山田養蜂場が毎年恒例で行っている「みつばち文庫」という活動だ。

 「みつばち文庫」とは、「自然環境の大切さ」「人と人とのつながり」「命の大切さ」をテーマに、子供たちが自ら学び、深く考え、行動につなげられる本を「みつばち文庫」として同社が選定し、全国の小学校に毎年寄贈している活動で、今年で22年目を迎える。今回は、一般公募の中から抽選で決定した全国の小学校1975校に、子供たちのための本8冊をセットにした「みつばち文庫」が贈られる。養蜂業者が本の寄贈をするのはなぜだろう。同社によると、かつての農型社会において地域ぐるみで子供たちの成長を見守ってきたように、社会の多くの人々とともに、子供たちに「心の栄養」を届けることを目指しているからだという。

 文部科学省が発表している、最新の「学校図書館の現状に関する調査」によると、小学校の図書標準達成学校数の割合は66.4%にとどまり、3割を超える小学校の図書館に本が足りていないという。紙の書籍の販売数や売り上げもさることながら、子どもたちの情操教育のためにも、学校の図書館にもっと本の充実を図るべきなのではないだろうか。図書館に足を踏み入れた時の、静けさや印刷の匂い。本棚にずらりと並んだ中から目当ての本を探すとき、見つけたときの昂揚感は決して、電子書籍のアプリでは味わえない体験でもある。(編集担当:今井慎太郎)