菅義偉総理が2012年刊行の単行本「政治家の覚悟」(文芸春秋)改訂版で、12年刊行時に「政府があらゆる記録を克明に残すのは当然。議事録は最も基本的な資料。その作成を怠ったことは国民への背信行為」と書いていた部分を削除していることが、菅総理の姿勢を示すものだと論議を呼んでいる。改定版は20日発売された。
削除していることについて、安倍晋三総理の下で官房長官を務めていた約8年間に「あらゆる記録を残すどころか『改ざん・隠ぺい・廃棄』まで行ってきたことから、削除したのではないか」と森友・加計・桜に加え、日本学術会議推薦の会員任命拒否理由の説明責任も果たさない菅総理に皮肉の声があがっている。
元自民党幹事長の小沢一郎衆院議員(立憲民主)はツイッターで「公文書改ざんと隠蔽の総司令官の発言としては、さすがに批判に耐えられないと自覚したということだろう」と書き込み「そんな自分に都合のいい嘘ばかりの本は、もはや読む価値すらないだろう」と酷評した。
立憲民主党の蓮舫代表代行もツイッターで「公文書管理を強く主張していたのに。削除。すごい『覚悟』だ」と皮肉った。
立憲民主党の枝野幸男代表は「これまで安倍内閣において記録すべき記録を残していない、あるいは改ざん・破棄するということを主導してきたことについてのご認識が(菅総理に)あるのかなと思いますし、菅政権が、しっかりと記録を残す意思を持っていないことを、ここをわざわざ外したということでお示しになっているとしか思えません」と述べた。
そのうえで「個別の政策を信用・信頼できるかどうかということの前提として、行政手続きを記録にしっかり残すということがなければならない。個別の政策以前の問題として、菅内閣の姿勢はおかしいと言わざるを得ず、大変憂慮している」と臨時国会でも、日本学術会議推薦会員への任命拒否問題を含め、総理を質していく考えを示した。(編集担当:森高龍二)