新型コロナ感染症の影響で経済の停滞が続いている。緊急事態宣言が解除された5月以降、徐々に回復傾向で推移してきたものの業種によって、その歩みにはバラツキが見られる。特に、自粛ムードが続く中、飲食店や観光業では未だ苦しい状況が続いている。夏からのGo Toトラベルキャンペーンで回復の兆しを見せていた観光業も冬に向けて第三波が到来し、キャンペーンが一時停止になるなど未だコロナによる減速リスクが存在し景況の先行きは不透明のままだ。
14日、帝国データバンクが11月下旬に2万3686社を客体として実施した「2021年の景気見通しに対する企業の意識調査」の結果レポートを公表している。これによれば、今年2020年の景況については、「回復」局面であったと考える企業は3.4%にとどまっており、他方、「踊り場」局面とした企業は24.8%、「悪化」局面とした企業は56.0%で震災直後の12年以来8年ぶりの「悪化」5割超となっている。
来年21年の見通しについては、「回復」局面を見込む企業は13.8%のみで、「踊り場」局面と見込む企業は28.7%、「悪化」局面を見込む企業は32.4%となっており2年連続で「悪化」が3割を上回っており、来年についても悲観的見方が強い。特にオリンピック関連で好調であった「建設」44.8%と「不動産」の40.4%で悪化を見込む割合が目立っている。
21年の懸念材料としては、やはり「感染症による影響の拡大」が57.9%で6割近くを占め最も高く、次いで、「雇用悪化」21.0%、「所得減少」19.2%などと新型コロナ関連の項目が上位をしめている。景気回復のために必要な政策としては、「感染症の収束」が58.0%と6割を占め最も高く、また、「中小企業向け支援策の拡充」が31.6%、「個人消費の拡大策」25.0%とコロナ関連で停滞した分野への支援が主なものになっている。
ちなみに、バイデン氏のアメリカ大統領就任の影響については「プラスの影響」17.2%で「マイナス」14.2%、「影響なし」27.2%、「分からない」41.4%で不透明ながらプラスが僅かに上回っている。
レポートでは「政府は新型コロナの収束を最優先にしつつ、企業活動や消費活動の活性化に向けた施策を一層推進する必要があろう」とまとめている。(編集担当:久保田雄城)