コロナ禍で企業の新卒採用や学生の就職活動大きく変わった。感染防止のため合同企業説明会や面接会など人と人が接触する多くのイベントが中止となり、企業の新卒採用スケジュールも大きく遅延しているようだ。多くの企業はオンライン化で様々なイベントを代替している。オンライン化によって様々なメリットを感じている企業や学生も少なくない反面、多くの課題も噴出し、全体としてパフォーマンスは決して良いとは言えないようだ。
7日、コンサルタント業のGrillが「コロナ禍における新卒採用実態調査」の結果レポートを公表している。この調査は10月12日から20日にかけて大学生439人、企業の採用担当者662人を対象にインターネットリサーチで実施されたものだ。
レポートによれば、人事採用にかかるコストが前年と比べて「増えた」と答えた担当者は11.8%、これに対して「減った」と答えた担当者は26.8%で、昨年より採用コストが減った企業が多いようだ。コスト削減になった理由は、「会場費が減ったから」が54.2%で最も多く、次いで「採用にかかる人数が削減できたから」30.5%、「広告費が減ったから」29.9%の順となっている。オンライン人事採用のメリットについては「コストを抑えられた」が35.9%で最も多くなっている。イベントの中止、オンライン化はコスト面ではメリットがあったようだ。
一方、学生側についてもコストは昨年より平均23%減少という結果になった。最もかかっていた「交通費」が昨年より10%以上減少したことが大きいようだ。このため学生側もオンライン化のメリットとして41.3%が「就職活動のコストを抑えられた」ことを挙げている。
しかし、学生のエントリー数については、前年に比べ「増えた」企業12.6%に対し「減った」企業は30.7%で、全体としてエントリー数は減ったようだ。担当者は「手堅い企業が好まれた傾向が見える」「腰掛け的な選考参加者が減った」と分析している。
内定数については、前年と比べて「増やした」企業が10.1%、「減らした」31.9%で、内定数を減らす企業が増えている。理由はコロナ禍の不況を理由にするものが多いが、また「リモート等では学生の魅力が分かりづらく、判断つかない」などオンライン化によるコミュニケーションのとりづらさなどの弊害を指摘する者も少なくない。(編集担当:久保田雄城)