日本経済団体連合会の中西宏明会長は記者会見で原発に関して「2050年カーボンニュートラル(CN)の実現には原発抜きには困難」と述べ、「原発の活用について真剣に議論する必要がある」などと語った。
一方で、東日本大震災から10年に際して11日発表した経団連会長としての談話では、東電福島第一原発事故に関して「福島第一原発の廃炉の完遂には、中長期的な視点からの地道な取り組みが不可欠である」と触れるのみで、原発には最低限触れるにとどまった。
経団連は今月「電力システムの再構築に関する第二次提言」を発表したが、そこでは原発再稼働の促進にとどまらず(1)原発新増設(2)原則40年の原発稼働期間の延長などを検討するよう政府に求めている。
特に、原発稼働期間について、安全性確保の面から定められた「原則40年」例外的に「(安全性が確認されたものに関して20年延長し、60年の稼働を認める」としている原則を、経団連は「経済性」の視点から「技術的に安全性が確認できる限り、運転期間の延長を認めることはエネルギー自給率の改善、電気料金の抑制、CO2排出量の削減のいずれの観点からも望ましい」などとして「米国では既に複数の原発で80年間の運転が認可されていることも踏まえれば、60年間を超えた運転期間延長の可能性について、技術的観点から検討を行うべきだ」などと堂々と主張し始めている。政府は原発に対する福島第一原発事故時の立ち位置(原点)を忘れてはならない。(編集担当:森高龍二)