新型コロナ関連のニュースがマスコミを席巻している。今年に入ってからは変異株の感染も拡がっており、春を迎えてもなお、心配は増すばかりだ。インバウンドの影響をもろに受けている観光業や飲食業だけでなく、多くの産業が深刻な被害を受けている。
とはいえ、暗い話題ばかりではない。働き方や暮らし方の変化に伴い、在宅する機会が増えたことをきっかけにリフォームを考えるなど、住宅のあり方に興味を持つ人も増えているようだ。
新型コロナウイルス感染者の増加と花粉や黄砂の季節が重なり、これまでに以上に換気など空気にも注意を払うようになっている人も多いだろう。
そんな中、ウイルスはもとより、黄砂や花粉、PM2.5など、住まいの汚染物質に配慮した「新しい生活様式」のニーズに応えるや提案がコロナ禍において反響を呼んでいるのだ。
国内大手ハウスメーカーの積水ハウスの次世代室内環境システム「SMART-ECS (スマート イクス) 」の採用物件が、昨年12月に発売から3カ月半で1000棟に達したという。
「スマート イクス」は「アメニティー換気システムⅣ」と呼ばれる熱交換型換気と空気清浄機を組み合わせて室内空気をきれいにする。熱交換型換気とは窓を閉めていても、外気を室温に近づけて室内に取り入れるため、快適で省エネな換気が可能で、今の時期、とくに気になる花粉についても99%以上除去する性能を持つ。一般的な換気システムは、外気に含まれる虫や粉じんなどによって、防虫フィルターや給気清浄フィルターが目詰まりしやすいため、給気清浄フィルターの掃除などを毎月行わねばならず、メンテナンスが大変だった。しかし、同社のシステムは、サイクロン給気フードとオリジナルの熱交換換気ユニットを採用することで、面倒な給気清浄フィルター掃除が不要になる。しかも、交換も約5年に1回という省メンテナンスで済み手間がかからない。
さらに同社では4月8日から住宅業界で初めて、住宅設計用CADと連携した邸別換気・空気清浄シミュレーションシステムを開発し、顧客のプランごとに換気効率や空気の流れがわかるシミュレーション動画の提案を開始した。設計段階から、目には見えない、きれいな空気の広がり方、空気の流れなどを「見える化」することで、「スマート イクス」の効果を具体的に確認することができる。
今、コロナ禍収束の切り札と期待されているワクチン接種が世界中で始まっている。日本でもいよいよ高齢者への優先接種が開始される。しかし、いくらワクチンが効果を示しても、特効薬でも現れない限り、この先しばらくはウィズコロナ時代が続くだろう。新型コロナウイルスに限らず、インフルエンザなどの感染症は、換気やマスクなどの日々の対策や行動を徹底することで、かなり防げるが、これらの手間や不快さなどから解放されたいと考えている人も多いのではないだろうか。経済の冷え込みや顧客の減少を嘆く気持ちはもっともだが、コロナ禍をきっかけとした新たな価値観や人々のニーズを取り込むことで、新たな商機が生まれ、突破口が開けるのではないだろうか。(編集担当:今井慎太郎)