トヨタ、ドライバーとクルマが協調する“レベル2”の運転支援技術「Advanced Drive」搭載車発表

2021年04月13日 06:59

Toyota Advanced Drive

トヨタは敢えて“レベル2プラス”のADASである「Advanced Drive」を発表 写真は搭載車のレクサスの最上級セダン「LS」(左)と第2世代のFCVである新型「MIRAI」

 トヨタはモビリティカンパニーとして、モビリティを通じて人々の生活を豊かにし、なかでも「安全」を最優先課題として「交通事故死傷者ゼロ」を究極の目標にしながら、人に移動の自由を届けるために安全・自動運転技術の開発を進めているという。

 そして今回、トヨタは「レクサスLS」とFCV(燃料電池車)第世2代「MIRAI」に、独自の自動運転コンセプト「Mobility Teammate Concept」に基づく高度運転支援技術「Advanced Drive」の搭載車を設定したと発表した。

 自動運転に対する世間の期待・懐疑などの声はさまざまだ。トヨタ車のユーザーにとっての本当の安全とは何か、本当に便利だと思えることは何か。その問いに対するトヨタの回答が今回発表の「Mobility Teammate Concept」だ。人とクルマが仲間のように共に走るというトヨタ独自の自動運転の考え方である。

 自動運転のクルマが人から運転を奪うのでも、単に人に取って代わるのでもなく、人とクルマが双方をパートナーとして尊重し合い、運転を楽しみ、時には運転操作を任せることで、本当の安全・安心、移動の自由を実現するという考え方だ。

 その一歩として、新型レクサスLS、新型MIRAIに、この考えに基づいた最新の高度運転支援技術「Toyota Teammate/Lexus Teammate」の新機能「Advanced Drive」搭載した。技術が進歩しても人が中心であることを目指し、ドライバーとクルマが対話のなかで互いの状態を確認し補い合い、安全な運転、快適な移動につなげていくという基本理念を内包する技術である。

 Advanced Driveは、自動運転ランク「レベル2プラス」のADAS(先進運転支援システム)だが、前方LiDAR(レーザーレーダー)や深層学習(ディープラーニング)ベースのAI(人工知能)技術、OTA(Over The Air)によるソフトウエア更新など新技術を取り入れ、安全性・快適性を高めた。

 いわば、Intelligent(知能化)、Reliable(信頼性)、Perceptive(高い認識性能)、Interactive(ドライバーとクルマの対話)、Upgradable(ソフトウェアアップデート)という5つの技術的特長を備えている。

 人が運転しているときのような自然で滑らかな走りを実現し、人とクルマ・双方向のコミュニケーションにより、互いに信頼し合える運転支援を目指している。

加えて、ソフトウェアアップデートに対応し、お客様の手に渡った後も、機能の追加・性能向上を続け、使い勝手の向上、最新の安全技術の提供を実施する。また、Advanced Driveでは、車外の画像データをはじめとする走行データを記録し、トヨタのサーバーに送信。刻々と変化する環境下でのクルマの挙動を把握することで、今後の自動運転・先進安全技術・地図関連技術の研究開発に活かす。ただし、データの取扱いにあたっては、個人情報保護法を遵守した上で、おクルマの利用者(車両通信の契約者)およびカメラに映り込む方等のプライバシーに配慮した対応をしているという。

 Advanced Driveは高速道路や自動車専用道路の本線上の走行を支援するシステム。ナビゲーションで目的地を設定すると、ドライバー監視のもと、実際の交通状況に応じて車載システムが適切に認知、判断、操作を支援し、車線・車間維持、分岐、車線変更、追い越しなどを行いながら、目的地に向かって分岐までの運転を支援する。

 ドライバーはアクセル、ブレーキそしてステアリング操作からも解放され、長時間の運転における疲労を軽減するとともに、より周辺に注意を払った安全な運転が可能だ。また、カーブや渋滞、追い越しなど走行中のさまざまなシーンに応じた自然で滑らかな走りを実現、ドライバーの気持ちに寄り添ったスムーズな走りを提供するとも。

 ホンダがフラッグシップセダン「レジェンド」でレベル3の自動運転を実現しているなかで、敢えてトヨタはレベル2プラスのADASで安全性を高める選択をした。ただし、高性能な車載システム搭載のため、Advanced Drive搭載車は、非搭載車に比べてMIRAIの場合で、約55万円のエクストラチャージが必要となる。トヨタによると、これが高いか安いかについては、今後ユーザーが判断することになる。(編集担当:吉田恒)