コロナ関連倒産は今年に入って増勢を強めている。東京商工リサーチの調査で判明した負債額1000万円以上のコロナ関連破綻は1月に93件であったものが2月に122件と急増し、その後も3月に139件、4月154件、5月124件、6月155件、7月140件、8月124件と高水準で推移、9月も高いペースを維持しており100件超えは確実だ。
8月31日に同社は負債額1000万円未満を含むコロナ関連破綻の累計が8月中に2000件を超えたと発表、1000件超えは2月であるからコロナ禍1年半の直近半年で倍増したことになる。長引くコロナ禍で多くの企業が過剰債務の状態におちいっており、先行き不透明の中で事業継続を断念する息切れ型倒産やあきらめ型倒産が増加しており、今後もコロナ破綻は高水準で推移すると見込まれる。
9月3日、同社は総務省「経済センサス」の企業数を基に2000件時点における地域別のコロナ破綻率を分析したレポートを公表している。これによれば、経済センサス(2016年調査)の企業数358万9333社を分母とすると全国のコロナ破綻率は0.056%となり1万社に5.6社がコロナの影響で破綻した計算となる。
都道府県別に見ると、最も多いのは2000件時点で466件判明した東京都の0.111%で約1000社に1社という高水準でコロナの影響による破綻が発生していることになる。2位が香川県の0.081%(破綻件数25件)、3位は大阪府の0.078%(同212件)と続き、東京都の破綻率が突出している。東京都の破綻件数は全体の23.3%と約4分の1を占めており、相次ぐ緊急事態宣言の発令で飲食業を中心に疲弊している企業が増えているようだ。レポートは「地場産業が観光などの地域性や人口の多寡、コロナによる人流制限、移動自粛なども、都道府県別の破綻率に大きなファクターとなっていない」と分析しており、「東京都、大阪府などの大都市圏は、相次ぐ緊急事態宣言等で深刻な状況が続き、コロナ破綻が加速している」と指摘している。
一方、破綻率が最も低いのは山梨県の0.013%で破綻件数は全国最少の4件となっている。ワーストの東京都と最少の山梨県では約10倍の差となっている。レポートは「コロナ禍で体力を疲弊した企業は増えている。企業の息切れが『コロナ破綻』を押し上げる可能性は日ごとに高まっており、間断ない支援と新たな出口戦略の策定が急務になっている」と指摘している。(編集担当:久保田雄城)