新型コロナウイルス感染症に対する緊急対応事業として安倍政権下で配布された布製マスク(いわゆるアベノマスク)で「115億円相当の8272万枚が配布されないままになり、昨年8月から今年3月までの保管料のみで6億96万円になった」ことは既報済みだが、会計検査院が5日に国の2020年度決算検査報告を岸田文雄総理に提出した内容では、残ったマスクの量は全体の28.7%に上り、仕様書さえ作っていなかったことが明るみになるなど、ずさんさが浮き彫りになった。
またマスク調達の契約の際に厚生労働省は『仕様書』さえ作らず、マスクの大きさや品質基準などを書類上明確にズサンなものだった。文部科学省も仕様書こそ作成していたが「ホルムアルデヒドが検出基準以下であること」としか示していなかった。
マスク発注に際しては、厚労省は17社と契約、支払額は399億7849万円にのぼり、文科省は3社と契約、支払額は42億8488万円になっていた。契約はすべて『随意契約』。とはいえ、すべてが妥当なものだったのか、疑問視する声は当時、国会でも指摘された。
会計検査院は検査報告で「マスクなどの衛生用品は衛生上、品質基準を明確に定めて調達する必要がある。緊急時であっても、公的規格などを準用するなどし、品質基準などを明確に定めた仕様書を作成するように」指摘した。
また随意契約調達の結果、妊婦向け布製マスクでは配布した49万枚のうち、6万枚に及び『髪の毛』などが混入するなどの不良品が疑われた。検査院は不良品発生時に納入業者の責任と費用負担で補修・交換その他必要な措置を講ずることを契約条項に入れるよう求めた。(編集担当:森高龍二)