事故後70倍の小児甲状腺がんの発症率どう説明

2022年02月08日 06:24

 EU欧州委員会が環境に配慮した投資先に「原発」を含める方針であることに抗議するため、菅直人、小泉純一郎氏ら元総理5人が原発を含めないよう求め送った書簡に、東京電力福島第一原発事故で『多くの子どもたちが甲状腺がんに苦しみ』との文言があったことを巡り、意見を取りまとめた「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」(吉原毅会長)に対し、原発推進派の自民議員や政府が抗議。

 このうち、山口壮環境大臣は「多くの子どもたちが甲状腺がんに苦しみ」との表記が「誤った記載」と抗議。これに対し、原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟は「誤った記載とする理由を10日までに回答するよう」環境大臣に根拠の説明を求める質問書を提出した。

 小児甲状腺がん発症頻度は年間100万人に1人か2人と言われる中、東電福島第一原発事故から10年で、県内では事故当時18歳以下だった38万人のうち、266人が発症。うち222人は甲状腺摘出手術を受けなければならなかった。発症率は70倍にもなる。

 原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟は「環境大臣として『多くの子どもたちが甲状腺がんに苦しみ』という事実を否定しているが、その理由を」と回答を求めた。

 また福島原発事故と今回の甲状腺がんとの間に因果関係がないとするのであれば「環境省は266人の小児甲状腺がんの原因はなんであると主張し、立証するのか」と回答を求めている。事故後70倍の小児甲状腺がんの発症率。その原因を環境大臣はどう説明するのか。

 また連盟は「266人も小児甲状腺がんが発生しているのにその原因究明もせず、福島原発事故由来でないと言うだけでは国民の健康に責任を持つべき環境省、および政府として余りに無責任」と政府の姿勢を問題提起し、真剣に実態を把握し、原因調査をしないのはそれをすると小児甲状腺がんと福島原発事故との因果関係を認めざるを得なくなり、原発再稼働、存続に障害となると恐れているからではないかと私達は疑っている」と環境大臣に伝えた。環境大臣には真摯な回答が求められている。(編集担当:森高龍二)