立憲民主党は先の総選挙の野党共闘で有権者に約束した政策実現にリーダーシップを発揮せよ。それは野党第1党の「国政政党」としての責任と理解すべき。代表交代から「立憲」の野党共闘対応にブレしか見えない。枝野氏のような発信力が感じられない。
背水の陣で戦わねばならない参院選挙に対する執行部姿勢。「本部としては2月27日の党大会で活動方針が了承され、方針が決まってからになる」(西村智奈美幹事長)と執行部がグイグイ引っ張る感が弱い。
泉健太代表は1月29日の文化放送で参院選に「国民民主党と協力するのが最初」と語った。自民補完勢力といわれる日本維新の会と連携を強める国民民主に協力を求めることが最初とはどういうことか。
連合とのしがらみはあるが、連合の下請け政党ではない。国民のための政党だろう。また「共産党が立憲民主党を自主支援するのはあり得る」とも語った。衆院選をともに戦った党に語る言葉とは思えない。
1月31日のBS番組では「現時点において次期総選挙や参院選において、一度、これまでの連携は白紙にするということは明確にさせて頂いている」とも発言している。「野党共闘」で有権者に公約した事柄は選挙が終わって白紙になるものではない。
そもそもが「野党共闘」なければ実現できない公約ばかり。数点あげる。(1)安保法制、特定秘密保護法、共謀罪法の違憲部分廃止(2)再エネ拡充で石炭火力から脱却、原発のない脱炭素社会を追及する。立憲は「原発ゼロ社会を1日も早く実現する」と党綱領に掲げる。国民民主と立ち位置が違う。
(3)格差と貧困の是正では立憲は労働者派遣法を見直し、真に専門性のある職種に限定すると労働市場の正常化をはかることを党の基本政策にあげている。
こうした政策実現には同じ方向を向いている政党が共闘し、国会の勢力分布を変えなければできない。経団連と車の両輪で政策を進める自民党に対峙できるのか。結党の原点を再確認していただきたい。
元文部科学事務次官・前川喜平氏は「『創価学会嫌い』を克服した自民党と『共産党嫌い』を克服できない立憲民主党」と度量・勇断をSNSで発信している。
共産党と共闘して共産主義になるわけがない。共産党も文面で「中国共産党の力による現状変更・人権侵害は『共産党』の名に値しない」と非難し、『民主主義と自由』『豊かな個性』『思想・信条の自由』『政治活動の自由』は厳格に保障」と明記している。
先の総選挙で、野党4党(立憲・共産・社民・れいわ)共闘があり、石原伸晃、甘利明氏ら閣僚経験者など自民党大物議員が小選挙区で落選した(甘利氏は比例復活)。与党候補と一騎打ちの結果、8選挙区は3000票以内の僅差だった。
長崎4区、大分2区、北海道4区、三重3区は1000票以内の僅差。共闘は始まったばかり。これを踏まえた路線強化こそが政権交代への道筋をつくる唯一の道と思われる。連合の芳野友子会長に振り回されてはならない。
共産党は野党共闘で総選挙の際に自民・公明などから「安保・自衛隊・天皇・共産主義」で攻撃を受けた。誤解を解くため「あなたの『?』におこたえします」(日本共産党綱領の話)とのリーフレットを製作。前記4点について、綱領への批判や疑問に正面から答えている。
政権合意に関しては「共通政策実現のため、安保、自衛隊など他の野党と意見の違う問題を政権に持ち込みません」とも明記した。
さきの総選挙の流れを踏まえれば、立憲は27日の党大会を待たず、野党4党の枠組みを強化し、参院選挙に臨む政党間協議に着き、その結果を党大会で泉代表、馬淵澄夫選対本部長が報告する積極性が必要だ。
政策立案能力や公約実現のために4党共闘は必要だし、できなければ立憲の回復はなく、万年野党の危機に堕ちる。それは自公政権に対峙することでの「健全な民主主義」実現のためにも回避しなければならない。その責任を自覚し、判断することを期待する。(編集担当:森高龍二)