昨年8月下旬からの新型コロナ感染者の急減によって、飲食・小売・宿泊など個人向けサービス消費も徐々に再稼働し始め、個人消費も回復傾向で推移し、10~12月期GDP速報の個人消費は前期比2.7%増となった。しかし、懸念されていたとおり1月からオミクロン株の流行による第6波が到来し、回復しかけていた個人向けサービス消費も急激に悪化したようだ。
2月17日に帝国データバンクがレポート「家計消費支出の動向と2022年の見通し」を公表しているが、これによれば1月の個人消費関連の景況感は5カ月ぶりに悪化し、特に個人向けサービス関連が大きく下押しされたようだ。「TDB景気動向調査」の1月の個人消費DIは32.5となり、昨年9月以降の上昇傾向から悪化に反転、特に人流抑制策が一部地域で再び発出された影響で「旅館・ホテル」や「飲食店」など個人向けサービス業のDIは27.6まで急下降している。自由回答では「新型コロナの感染拡大によるキャンセルの増加で、予約のない月日が多い」(旅館)、「在宅勤務の増加で社員食堂の食数が減少している。さらに歓送迎会などイベントの中止も追い打ちになっている」(一般食堂)など感染拡大の影響が直撃しているようだ。
総務省の家計調査データ(21年)を分析した結果では、「名目家計消費は、新型コロナショックで二極化傾向が顕著」であると指摘している。21年の家計消費支出を項目別にコロナ前の19年と比較すると消費支出全体では4.9%の減少となっている中で、マスクやガーゼを含む「保健用消耗品」は49.7%の大幅な増加、また自宅内消費の「パスタ」10.2%増や「冷凍調理食品」20.8%増、家飲み用の「チューハイ・カクテル」38.3%増も大きな増加となっている。一方で「飲酒代」は76.0%の大幅な減少で既にコロナ禍であった20年と比べても49.2%の大幅な減少となっている。教養娯楽費も19年比45.1%の減少で、中でもパック旅行費が82.4%の8割を超える大幅な減少だ。
TDBマクロ経済予測モデルによるシミュレーションでは22年の実質家計消費支出は前年比3.6%増とサービス消費も含め回復傾向で推移すると予測されている。ただし、消費額では「2022年に新型コロナ拡大前である2019年の水準を上回るのは非耐久財消費のみにとどまり、家計消費支出全体が新型コロナ拡大前の水準を回復するのは2023年になる」という予測だ。(編集担当:久保田雄城)