電通が「2021年 日本の広告費」を発表。総広告費は6.8兆円、前年比110.4%と2桁増。トップはインターネット広告費2.7兆円、前年比121.4%。マスコミ四媒体広告費(新聞、雑誌、TV、ラジオ)2.5兆円を上回る。
2020年3月に電通が発表した「2019年 日本の広告費」でインターネット広告費がテレビメディア広告費を上回り話題となった。19年の総広告費は6兆9381億円とインターネット広告の好調を背景に急拡大したものの、20年は新型コロナ感染症の流行の影響を受け6兆1594億円まで低迷した。
2月24日に同社が「2021年 日本の広告費」を公表したが、これによれば21年の日本の総広告費は6兆7998億円で、前年比は110.4%と2桁の大幅な増加となった。しかし、21年の総広告費は19年比で0.98%とコロナ前の水準までは回復していない。
21年の大幅回復の背景としては8月下旬以降の感染の急激な収束など「コロナ禍からの回復に伴う景況感や消費者心理の改善に伴い、テレビメディア広告費が回復し、インターネット広告費の成長が加速したことが広告市場の成長へつながった」とし、また「オリンピック・パラリンピック」が「広告需要を後押しした」とも分析している。
広告費の内訳を見るとシェアトップは引き続きインターネット広告費で2兆7052億円、前年比121.4%の大幅な伸びとなっており、総広告費の中の構成比は39.8%と約4割を占めている。マスコミ4媒体(新聞、雑誌、ラジオ、テレビメディア)の広告費は2兆4538億円、前年比108.9%、構成比36.1%となっており、インターネット広告費がはじめてマスコミ4媒体広告費を超えた。成長率もインターネット広告の方が倍以上の勢いだ。ちなみにテレビメディア広告費は1兆8393億円、前年比111.1%、構成比27.1%となっている。内訳は、地上波テレビが1兆7184億円で、前年比111.7%、構成比25.3%、衛星メディア関連が1209億円、前年比103.1%、構成比1.8%となっている。
テレビメディアも、これを含むマスコミ4媒体合計でもコロナ前の19年の水準に回復していないが、インターネット広告費は19年の2兆1048億円と比較して21年は128.5%となっており、20年は2兆2290億円と伸びは鈍化したものの、コロナ禍でもトレンドとして高い成長率を維持している。一般にインターネット広告の急成長の主要因として動画のクオリティー向上が指摘されるが、レポートでは「巣ごもり・在宅需要の継続や、東京2020オリンピック・パラリンピックの開催などにより、動画配信サービスの利用者が増加し、動画広告は大きく伸長した」ためと分析している。(編集担当:久保田雄城)