安全保障戦略策定で日米完全整合させる 総理

2022年03月29日 06:12

 岸田文雄総理は27日、防衛大学校の卒業式の訓示で、世界の情勢、日本を取り巻く安全保障環境の厳しさを踏まえ「日米同盟の抑止力・対処力を一層強化していくことで米国バイデン大統領とも一致しており、新たな国家安全保障戦略などの策定においても、日米の戦略を完全に整合させるべく、緊密に議論を行っていく」と日米同盟深化への考えを強調した。

 岸田総理は自衛隊最高指揮官として訓示し「ロシアのウクライナへの侵略により、国際社会が長きにわたる懸命な努力と多くの犠牲の上に築き上げてきた国際秩序の根幹が脅かされている。事態の展開次第では世界も、我が国も、戦後最大の危機を迎えることになる」と危機感と強い懸念を示した。

 そのうえで「ロシアを厳しく非難するとともに、G7始め、国際社会と連携して、事態の展開に合わせて、機動的に厳しい制裁措置を講じてきている」とし「力による一方的な現状変更は、いかなる地域においても許してはならない」とした。

 また、ウクライナ支援へ自衛隊も防弾チョッキ、ヘルメット、防寒服、非常用糧食などを提供したことを語った。

 岸田総理は「今の我が国を含む国際社会の選択と行動が、今後の国際秩序の趨勢を決定づける。そうした大きな時代の転換点を迎える中で、国際社会が一致して、力による一方的な現状変更に毅然と対抗していかなければなりません」と政府の姿勢を示した。

 岸田総理は「皆さんも、こうした危機意識と情勢認識をしっかり持ちながら、我が国の存立を全うし、国民の生命と財産を守り抜く、この政府の最も重大な責務の一端を担っていってほしいと思う」と訓示した。

 また世界情勢、日本を取り巻く安全保障環境に対応して「新たな国家安全保障戦略、防衛大綱、中期防衛力整備計画の策定は喫緊の課題。ウクライナ情勢を含め、我が国が直面する厳しい現実から目を背けることなく、これら3文書の検討を加速していく」と述べた。(編集担当:森高龍二)