村田製作所、仏ミシュラン社と共同でタイヤ内蔵型の小型RFIDモジュールを開発

2022年05月10日 06:30

Murata_Michelin RFID

進む自動車タイヤのIoT化 村田製作所が仏ミシュラン社と共同開発したタイヤに内蔵可能なRFIDモジュール

 村田製作所と仏ミシュラン社が共同で、自動車タイヤに内蔵可能な小型RFID(radio frequency identification)モジュールを開発した。写真のように6mm×1mm×1mmときわめて小さな部品だが、村田製作所はタイヤビジネスにイノベーションをもたらす製品だと自負している。

 同社は自動車業界の各企業がCASEによる大変革に取り組んでいるとして、ビジネス収益モデルを「モノ」の販売から「サービス」の販売へと変え、新たなモビリティの時代到来だと見据えている。云うまでもなくCASEとは、コネクテッド(C)、自動化(A)、シェアリング&サービス(S)、電動化(E)という4つの進化軸に沿って、車両と自動車ビジネスを進化させる大きなトレンドだ。

 このような方向性は自動車完成車メーカーだけでなく、部品メーカーにも押し寄せているようだ。自動車産業の変革に敏感なタイヤメーカー仏ミシュラン社は、タイヤビジネスのサービス化による新たな価値提供に積極的に取り組む。

 同社は、2024年までにすべてのタイヤに、その利用状況や管理状況をリアルタイムで把握するRFIDチップを搭載する計画を明らかにしている。いわゆるIoTシステム構築だ。このRFIDとは、ICタグなどを製品に埋め込み、無線通信によってモノを自動的に識別・管理する技術。バーコードなどに比べ、より多くのデータを簡単に一括読み取りできる利点がある。データを書き換えることも可能で、タイヤ保全サービスの提供や車両の運用管理、廃タイヤのリサイクル、販売店などの在庫管理などに役立てようと云うわけだ。

 ミシュラン社の構想では、RFIDタグを内蔵、タイヤのIoT化で、タイヤが作られてからクルマに装着後の利用、さらに破棄まで、ライフサイクル全体の利用履歴を管理することを想定している。RFIDタグをトレーサビリティの確保や運用面の効率化に利用する。

 さまざまな商品のIoT化のなかで、自動車タイヤのIoT化は技術的な要求レベルがきわめて高度だと云える。クルマが唯一地面に接する部分のパーツであり、「走る・曲がる・止まる」という運動性能の基本を担う。その使用環境は極めて過酷で、高い信頼性・安全性が求められ製品だ。そこにREIFを使うという発想だ。

 ただ、従来のRFIDタグには課題があった。RFIDタグをタイヤに内蔵すると、大きく重量が嵩むとタイヤの真円性が損なわれ回転バランスが取る憎くなる。また、ICと情報伝送や無線給電に用いるアンテナが走行時の振動によって破断し、通信不能状態になってしまう問題だ。そんな課題に応えたのが、村田製作所の小型技術とRFID技術「マジックストラップ」だ。マジックストラップで小型化と堅牢性の向上を実現したRFIDを海外の展示会に出展したところ、ミシュラン社の目に留まり、タイヤに内蔵可能な高い耐久性を持つRFID技術を共同開発することになった。

 RFIDのタイヤへの内蔵に適用可能な高い信頼性などの高度な要求を満たすため、マジックストラップに改良を加え、RFID内蔵によるタイヤへの影響を最小限に抑えるため、モジュールのサイズを6mm×1mm×1mmにまで小型化。通信距離を延長に対する要望には、カスタム部品を導入することで最適化した。

 共同開発したRFIDモジュールは本格的な生産を開始し、商用車向けを皮切りに、すでに400万本以上のミシュラン製タイヤに内蔵されている。

 村田製作所は2022年1月に東京ビッグサイトで開催されたカーエレクトロニクス技術展にて、タイヤ内蔵用RFIDタグを初披露した。

 なお、5月12日からパシフィコ横浜(横浜みなとみらい)で開催される一般社団法人国際物流総合研究所主催の「ジャパントラックショー2022」で、展示公開される。(編集担当:吉田恒)