電気・ガスの高騰続く。一年間で月2000円以上の上昇も。家庭での効果的な対策は?

2022年05月22日 08:59

画・「太陽光」など電力参入ブーム終焉。淘汰加速で3年連続の大幅減。質の高い事業者の参入促進が課題。

電気代やガス代の高騰は家庭の中だけでなく、あらゆる産業にも大きく影響する

 2021年の9月から、全国的に電気料金とガス料金の高騰が続いている。

 主な原因は、石炭や液化天然ガス(LNG)などの輸入価格が高騰している影響により、燃料費調整額が値上げされているためだ。日本の電気事業者が発電している電気の多くは石炭やLNGを燃料とする火力発電。石炭とLNGは、その7割近くを占めている。さらに、ほとんどを海外からの輸入に頼っているため、輸入価格の高騰は、電気料金に直結してしまうというわけだ。

 東京電力を例にとってみると、2021年3月の一般的な家庭の電気代は約6000円。ところが今年3月の電気代は約8000円。たった1年でおよそ2000円も値上がりしているのだ。冷暖房がフル回転する季節になると、この差額はもっと大きくなるだろう。家庭の電気代だけで、年間数万円アップの大打撃だ。

 もちろん、すでに節電対策に取り組んでいる家庭も多いことだろう。普段の生活を少し心がけるだけで、実は結構な節約ができる。例えば、環境省のホームページによると、夏の冷房の設定温度を1℃高くすると約13%、冬の暖房の設定温度を1℃低くすると約10%の消費電力を削減できるという。また、設定温度だけでなく、月2回程度のペースでこまめにフィルターを掃除するだけで、5%前後の消費電力をカットできるようだ。また、見落とされがちなテレビの節電も、視聴しないときはスリープではなく主電源から落とすことで大幅な節電となる。輝度のチェックも重要で、プラズマテレビの場合、最大の設定から中央に

 見直すことで、年間で約152kWh、4000円前後の節約になるという。明るすぎるモニターは目の健康にも良くないので、ぜひ一度、見直してほしい。

 そして近い将来、マイホームの新築やリフォームを考えているなら、間取りや外観、耐震性能ともに重要なのが、住宅の断熱性能と太陽光発電だろう。電力を自給できる環境は、昨今のような光熱費の高騰時に助かるだけでなく、もしもの災害発生時などにも威力を発揮する。家族の安全と安心のためにも、ぜひ検討すべき仕様だ。

 昨今は、環境意識の高まりやSDGsの周知などによって、住宅メーカー各社もZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)などに力を入れており、比較もしやすくなった。また、大手だけでなく、中堅メーカーでも自社の特性を活かした省エネ・節エネ住宅を展開している。

 例えば、木造注文住宅メーカーのアキュラホームの「超空間の家Neo」などがそれだ。キリンが家のリビングに居るユニークなテレビCMなどで印象に残っている人も多いのではないだろうか。「超空間の家Neo」は同社が誇る、通常の15倍もの耐久力を持つ耐力壁「8トン壁」を用いることで、木造ながら30坪で30帖の無柱の超空間を実現。これにより、平均的なキリンの高さ5.3メートルを上回る5.6メートルの天井高も可能だという。しかも、断熱等性能等級5相当の断熱仕様で建築し、かつ太陽光発電システムを搭載。同社によると、これら次世代エコシステムを採用することによって、35年間で約800万円もの節約になるというから驚きだ。

 電気代やガス代の高騰は家庭の中だけでなく、あらゆる産業にも大きく影響する。米や野菜をつくるにも電気やガスは必要で、物価の高騰は避けられない事態だ。今すぐにできる省エネ・節エネ対策、そしてこれから先の未来の生活を見据えた対策に一日も早く取り組んでほしい。(編集担当:藤原伊織)