安倍晋三元総理の後援会が主催した「桜を見る会前夜祭」に政府の経済財政諮問委員会の民間議員で新浪剛史氏が社長をつとめるサントリーホールディングスからウイスキーやビールなどが無償提供されていた「政治資金規正法違反」と酒税一本化改正先送り狙いだった疑惑の問題が8日の衆院財務金融委員会で取り上げられた。
立憲民主党の西村智奈美幹事長が質問した。西村氏は「税率統一を10年先送りにしたことは『サントリーの政治力の結果だ』と当時報道されていた。時期的にもいろいろ符合する。2015年12月に税制改正。ビール税に関しての改正が先送りにされた後に、16年の桜を見る会前夜祭に、サントリーから酒類の無償提供が行われている」と指摘。
西村氏は「16年10月24日に安倍総理(当時)がサントリーの佐治忠信会長と面会されているが、その翌々日にビール税の一本化を来年度は見送りというふうに報道もされている。言ってみれば『お友達企業からの疑惑』。やっぱり問題だ。財務大臣はどう考えるか」と質した。
鈴木俊一財務大臣は「酒税改革はビール系飲料でなく、清酒やワイン、いわゆる缶酎ハイなど幅広い品目を対象にした見直しであり、与党税調で議論を重ねて決定されるということで、酒税改革についても幅広く議論され、その結果、決定されたと承知している。政治家の後援会が企業から寄付を受けたか否かについては財務大臣としては答える立場にない」と逃げた。
これに西村氏は「サントリーは新ジャンルのビール(第3のビール)の比率が高い企業だった。税制統一で不利になる企業のカテゴリーに入っていた」と指摘。
西村氏はこの日の委員会に安倍元総理と元公設秘書の配川博之氏、サントリ―HD社長の新浪氏を参考人招致するよう求めたが実現せず。西村氏は政治資金規正法違反の疑いがあるとして捜査機関が捜査すべきだとした。そのうえで、捜査機関が動かないのであれば、我々として参考人招致をしっかり行って事実関係を明らかにしていく責任があると事実解明に努める姿勢を示した。
また西村氏は税率統一のよるビール大手4社別の影響試算や各社からの要望内容、財務省と4社との面談記録、官邸とこの問題に関しての協議記録資料を出すよう求めたが、出されていないと追及。
鈴木財務大臣は「酒業界全体からの要望は受けているが、個別に各社から税制改正の要望については受けていないと承知している」とし「(財務省と4社との面談記録、官邸とこの問題に関しての協議記録ともに)現時点で確認できていない」と逃げた。現時点と答え、資料有無を明確にしていないことから、参院選挙後、関係資料が表面化することもある。(編集担当:森高龍二)