岸田文雄総理は14日の記者会見で「(今冬の電力需要に対応するため)萩生田光一経済産業大臣に、できるだけ多くの原発、この冬で言えば最大9基の稼働を進め、日本全体の電力消費量の約1割に相当する分を確保するように指示した」と語った。
電力需要のひっ迫を理由とした原発再稼働促進の指示と言え、経団連や電事連の要請に沿うものになっている。原発再稼働には原子力規制委員会が安全性の新基準を満たしたものであっても、地元の同意を得られることが条件。重大事故時の避難計画も実効性のあるものになっていなければならない。これをクリアして再稼働が可能になる。
国民民主党の玉木雄一郎代表は15日、ツイッターで「役所から説明を受け概要が判明。最大9基の内訳→大飯3、4、美浜3、高浜3、4、伊方3、玄海3、川内1、2」と紹介。「新たに再稼働を認めるものではない。もともと再稼働を予定していたもの」と紹介。
つまり、再稼働準備中あるいは大飯原発4号のように今月17日から調整運転入りし、8月中旬から本格運転する計画が進むなど、既定路線の原発9基をさしているもので、新たなものはないということだ。9基の原発の本格稼働の時期を1か月程度前倒しできるような迅速対応を指示したのか、とも推測される。
玉木氏は「今回は特重設置期限5年の見直し等は前提としていない」とも発信。そのうえで「西日本での稼働が進むことで、浮いた天然ガスを東日本に回せる。柏崎刈羽は原子力規制委員会によるレビューが継続中で今冬には間に合わず」と伝えている。
玉木氏は「実際に国がやるのは来年1月20日予定の玄海3号の運転再開を出来るだけ前倒しでできるよう九電のお尻をたたくことと、(前倒しに)地元理解が得られるよう国も頑張るというところでしょうか」と発信した。
一方、岸田総理は今夏のエネルギー確保については「政府からの要請も踏まえ、関係の皆さんの努力により、全国で10以上の火力発電所の運転が次々再開し、電力の安定供給を確保する見通しが立った」とした。(編集担当:森高龍二)