「高負担・高福祉社会」に賛成半数超えも、消費税は減税派が半数

2022年07月31日 08:37

画・「高負担・高福祉社会」に賛成半数超えも、消費税は減税派が半数。

株式会社センキョが「政治意識に関するアンケート調査」。財政支出については、「税金は高く社会保障も充実」50.7%、「税金は低く社会保障も最低限」25.6%。消費税は「減税」が50.5%

 日本の高齢化は加速している。内閣府の令和4年版高齢社会白書の資料によれば、日本の65歳以上の人口比は28.9%となっており、過去最高を更新している。今後も高齢化上昇は確実で2050年には総人口の4割に達する予測だ。日本の高齢化が極めて深刻な問題とされたのは古く、1960年代の厚生省人口問題審議会の答申以来で、既にこの時「21世紀における経済の停滞と社会保障の破綻」の危機が唱えられている。その後も出生率は改善せず高齢化に伴う社会保障維持の問題は深刻さを増していった。日本政府は75年からほぼ毎年のように特例法による赤字国債を振り出し、何とか社会保障制度維持に努めてきたが、既に国債残高はGDPの3倍近くまで達し限界を迎えている。

 米国を除く先進国では概ね高負担の社会保障制度が選択され、ヨーロッパ諸国では80年代に20%の付加価値税を国民との間で合意し、高齢化社会の中、安定的な社会保障を維持している。日本の消費税率は未だ10%だが、賃金上昇も十分でなく高負担の内容については国民との間で十分な合意形成が図られているとは言いがたく、未だ財政赤字は膨張し、実質財政ファイナンス(日銀引き受け国債)で何とかやり繰りしている状況だ。日本はこれまでも何度も財政構造改革にメスを入れてきたが、これは基本的に高齢化の中、年金や医療・介護などの社会保障を維持することが目的であった。

 7月22日に政治・選挙関連のプラットフォームを運営する株式会社センキョが「政治意識に関するアンケート調査」(調査期間:6月中旬、対象:LINEアカウントを持つ全国の男女、有効サンプル:351万1995サンプル)の集計結果を公表している。これによれば、「国のお金の使い方はどうする」という問いに対して、A.「税金は高く社会保障も充実」とB.「税金は低く社会保障も最低限」の二つの視点で答えてもらった結果、「A」が14.4%、「どちらかといえばA」が36.3%で最も多く、「どちらでもない」23.7%、「どちらかといえばB」18.2%、「B」7.4%、と「A」および「どちらかといえばA」の合計で50.4%と低負担低福祉の25.6%を大きく上回った。しかし「消費税はどうする」という問いに対しては、「増税」「どちらかといえば増税」は18.2%と2割にも達せず、「どちらかといえば減税」、「減税」の合計50.5%を大きく下回っている。高負担・高福祉社会を多くの人が望んでいながらも、賃金が伸び悩んでいる中、税負担を抱える余裕はないというのが国民の現状のようだ。(編集担当:久保田雄城)