電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)などの購入に際して、政府から支給される2022年度補助金の受け付けが10月下旬にも終了すると大手新聞などマスコミ各社が一斉に報じた。カーボンニュートラルに向け、普及を目指す補助金が年度途中で終了する。数年前にエコカー減税の財源が不足しかけたのと同様、異例な事態と云える。
EVなどの新車購入費用を補助する「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金(CEV補助金)」が、この10月末にも打ち切られるようなのだ。経済産業省などは補正予算の編成の検討を始めたようだが、環境対応車の販売促進に水を差さないためにも、きめ細かな対応が求められそうだ。
経済産業省と一般社団法人「次世代自動車振興センター」は9月16日、2021年度補正予算と2022年度当初予算で確保した430億円の予算枠のうち、約8割を使い切り、予算残高が約105億円(9月12日時点)になったと発表した。予算額に達した場合、補助金は終了するため、このペースで推移すると「申請の受け付けは10月下旬から月末を目処に終了する見込みだ」という。
最大55万円の補助金が得られる日産自動車「SAKURA(サクラ)」、三菱自動車「eKクロスEV」の両軽自動車規格EV販売が好調なためだという。
CEV補助金は、EVとPHEV、燃料電池車(FCV)などを購入した場合が対象となる。EVは最大85万円(軽EVは55万円)、PHVは55万円、FCVは255万円が国から支給される。
政府は2022年度補正予算の編成を検討しているが、問題は成立時期だ。CEV補助金の支給の条件は、「車両の登録・届け出から1カ月以内の申請が必要」となる。見込み通りCEV補助金が10月末になくなり、補正予算の成立が仮に12月以降になった場合、空白期間が1カ月を超え、登録・届出日によっては補助金を申請できない場合が出る。販売現場での混乱は避けられそうに無い。
次世代自動車振興センターでは今後も、執行状況を踏まえて残高・申請受付終了見込みを更新、同センターのHPなどで公開する予定だ。終了見込みについては、今後の申請状況や予算残額等により、前後する可能性がある。
申請受付は、新車購入後、申請書のセンターへの到着日で先着順となり、予算額に達した場合は、予算額に達した日の前日をもって申請受付は終了となる。
CEV補助金のこれまでの支給条件は少々面倒なので、ここで整理して記す。
【EV(軽EV、超小型モビリティ含む)、PHEV、FCVの補助上限額】
電気自動車(軽自動車を除く):上限65万円
軽自動車規格電気自動車:上限45万円
プラグインハイブリッド車(PHEV):上限45万円
燃料電池自動車(FCV):上限230万円
超小型モビリティ(個人):定額25万円
超小型モビリティ(サービスユース):定額35万円
【下記条件AまたはBを満たす車両の補助上限額】
A:家庭用電力が取り出せる車載コンセント(1500W/AC100V)がある車
B:外部給電器やV2H充放電設備を経由して電力を取り出すことができる車両
電気自動車(軽自動車を除く):上限85万円
軽自動車規格電気自動車:上限55万円
プラグインハイブリッド車:上限55万円
燃料電池自動車:上限255万円
超小型モビリティ(個人):定額35万円
超小型モビリティ(サービスユース):定額45万円
なお、国による別の補助金(2023年度CEV補助金など)について、現時点では決定した事項は未だない。(編集担当:吉田恒)