岸田文雄総理は5日の衆院本会議で立憲民主党の泉健太代表から原発について「原発は『電力ひっ迫だから』とテロ対策が万全でない段階の再稼働や安全に関する手続きを緩和すべきではない」と質されたのに対し「2050年のカーボンニュートラルに向け、再エネ・省エネ・原発・水素・アンモニアなどあらゆる選択肢を追及していく」とし「原発についてはいかなる事情よりも安全性が最優先であり、自然災害への対応も含め、今後とも独立性の高い原子力規制委員会が厳格に規制を行っていく方針に変わりない」と強調した。
そのうえで岸田総理は「わが国に対する武力攻撃が発生するという事態については、原発の規制の問題ではなく、我が国自身の防衛の問題。原発へのミサイルによる攻撃に対してイージス艦やPAC3(地対空誘導弾パトリオット3)など、我が国の防衛力による対応をするほか、日米で共同して対処していく」と答弁し、ミサイル攻撃に堪え得る設備の対応は原発稼働の施設整備条件にすべきではないとの考えを示した。
岸田総理は「原発再稼働により電力需給のひっ迫が緩和されるとともに、電力価格の上昇が抑制されると考えており、設置変更許可済7基の再稼働については来年以降のできるだけ早期の稼働を目指していく」と答弁した。
また岸田総理は泉氏が「次世代革新炉で示された『革新軽水炉』『小型軽水炉』は新増設や建て替えに該当しないのか」との問いには「年末に向け、専門家による議論の加速を指示している」とした。原発を巡っては原発稼働期間「原則40年」を堅持すべきだが、経団連や電事連の求めに応じて「60年」に延長してしまう可能性もあり、今後の動向について関心が持たれている。(編集担当:森高龍二)