岸田文雄総理は19日の参院予算委員会で宗教法人法81条(刑法等の実定法規の定める禁止規範または命令規範に違反するもの)に照らして、解散命令請求要件に「民法の不法行為も入り得る」と、前日と真逆の答弁を行った。事実上の修正答弁となった。
前日の衆院予算委員会では立憲民主党の長妻昭政調会長から「法令違反による解散請求に関する解釈は『刑事的確定判決に限定する』ということか。民法の組織的不法行為は入らないということか」と質され「刑事的確定判決が出なければ、民法の不法行為では宗教法人の解散事由にならない」と答弁していた。これに長妻氏は、総理の統一教会への取組みの本気度が「今、はっきりした。信用できない」と断罪していた。
岸田総理は18日の答弁を翻し、19日の答弁では「行為の組織性、悪質性、継続性が明らかになり、宗教法人法の要件に該当する場合『民法の不法行為も入り得る』。政府として、関係省庁で考え方を整理した」と釈明した。
これで、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題をめぐり、宗教法人解散命令請求を視野に入れた実効性の伴う「報告徴収、質問」の権限が行使される、といえよう。
小西議員はツイッターで「昨日に答弁した法解釈を翌日に全面撤回するのは戦後初の事件です。実は、民法の不法行為や使用者責任が使えないという主張は、過去の国会答弁等にも反する旧統一教会を守るための違法な解釈でした」と発信。
そのうえで「民法の使用者責任を含めあらゆる法令違反が対象となるという従来の政府解釈を答弁させ、かつ、質問権で民事裁判例を使うことを答弁させました。これで、質問権・報告徴収権の正しい行使が可能となり、文化庁による裁判所への解散命令請求の道がひらけたと思います。引き続き、しっかり取組みます」と書き込んだ。(編集担当:森高龍二)