LGエナジーソリューション(LGES)とホンダは、両社合弁によるEV用リチウムイオンバッテリー生産工場を、米国オハイオ州の州都コロンバスから南西約40マイルに位置するファイエット郡ジェファーソンタウンシップに建設すると発表した。
両社による合弁会社は、35億米ドルの投資と約2200人の雇用を生むとしており、その投資額は最終的には総額44億米ドルとなる見通しだ。合弁会社は、関連当局の承認などの手続きを経て、2022年中に設立される予定。新工場は2023年初頭の着工、2024年末の建設完了を目指す。
その後、2025年以降、北米で生産するホンダ/アキュラ車のEV用リチウムイオンバッテリー生産を行ない、北米のホンダ系完成車工場へ供給する。
ホンダは電動車の本格的な生産に向けて、米国オハイオ州内の四輪車を生産するメアリズビル工場、イーストリバティ工場、四輪車用パワートレーンを生産するアンナ・エンジン工場の既存工場3カ所に、合計7億米ドルを投資して生産設備をEV生産に向けて更新する計画も発表。今後、これらの工場を北米におけるEV生産の拠点とする構想とした。
このレガシィとも云えるホンダの既存生産設備の更新により、2026年に北米で発売を予定している最新のEV向けプラットフォーム「Honda e:Architecture」を採用したEVを生産する予定だ。アンナ・エンジン工場で製造するバッテリーケースと、LGエナジーソリューションとのEV用バッテリー生産合弁会社の工場で生産されるバッテリーモジュールをメアリズビル工場で組み合わせてバッテリーユニットを製造。これをメアリズビル工場とイーストリバティ工場2カ所の完成車工場で生産する新型EVに搭載する計画だ。
ホンダは、1982年にメアリズビル工場で、日本の自動車メーカーとして初めて米国における四輪車「北米仕様アコード」の生産を開始し、今年で40周年を迎えた。今後、オハイオ州の生産拠点を北米ホンダのEV生産のハブと位置づけ、北米内の他の四輪車生産現場に生産技術やノウハウを展開する。
ホンダのEV戦略・投資は多彩だ。10月13日、東京都内で設立記者会見を開き、共同出資する電気自動車(EV)の新会社「ソニー・ホンダモビリティ」の概要を公表した。共同開発する次世代EVを北米のホンダの工場で生産し、2025年前半に先行受注を始め、26年春に北米から出荷する計画だという。販売はオンラインを中心とする方針だ。世界の自動車産業でEVシフトが進む中、エンターテインメントやテクノロジーを打ち出した商品開発を加速する。
新会社であるソニー・ホンダの経営方針について新会社の水野泰秀会長兼最高経営責任者(CEO/ホンダ専務執行役員)は「ソフト技術を中心としたモビリティテックカンパニーになりたい。人の感性や行動へ働きかける商品やサービスに強くこだわりたい」と声高に宣言した。また、川西泉社長兼最高執行責任者(COO、ソニーG常務)も「メカとエレキがソフトウエアの進化で融合し、新しいモビリティをつくりたい」とコメントした。もちろん、ソニー・ホンダの新EVにもオハイオ州のLGとの合弁バッテリー工場のユニットを搭載する。(編集担当:吉田恒)