日本のDX投資は順調のようだ。しかし、そこで大きな課題となっているのが人材の不足だ。現在、世界的にDX人材、ITエンジニアの争奪戦が繰り広げられているが、日本でのIT人材の不足は世界の中でもより深刻な状態にあると思われる。日本では外国人材の活用なども積極的に取り組まれているものの、報酬面や言語、組織風土など様々な面での課題が指摘されている。日本で働く外国人エンジニアのサポートを行っているTokyoDevの調査によると外資系企業に勤務するエンジニアの年収中央値は日本企業の約2倍で、勤務形態の自由度も高く、外資系と日本企業では人材獲得力に大きな格差があるようだ。
12月8日、TokyoDevが「様々な国籍の日本在住エンジニアの働き方や給与、技術に関する調査」の結果レポートを公表している(調査時期:10月~11月、調査対象:日本で働く外国人エンジニア、有効回答558件)。これによれば、年収の中央値は950万円で前年調査と比べ100万円の増加となっている。年収階級別に見ると、「600~790万円」が23%を占め最も多くなっているが、「2000万円以上」が13%となっており、これが中央値を引き上げている。
企業の種類別に年収中央値を見ると、「外資系企業の日本法人」は1450万円、「日本法人のない外国籍企業」1150万円、「日本企業」750万円、「個人事業主」700万円となっている。外資系企業の年収中央値は日本企業の実に2倍近くになっている。この報酬の差は経験年数の長い者ほど顕著で、12年以上の経験者では外資系企業が1900万円に対し日本企業では1050万円となっている。
働き方について見ると、1週間の勤務時間については「40~44時間」が59%と最も多く、次いで「45~49時間」の12%、「35~39時間」11%と続く。40時間未満の合計は18%で、勤務時間については平均的な日本人勤労者と大きな違いは無さそうだ。リモートワークの状況については、「回答者の自由」が55%で最も多く、次いで「ハイブリッド」26%、「フル・リモート」15%の順で、「出勤必須」は4%のみとなっている。企業の国籍別のデータはないが、全体として勤務の自由度は高そうだ。
企業の業務内容やエンジニアの職務内容がレポートからは分からないため単純には比較できないというものの、日本企業が報酬面などにおいてエンジニアの獲得競争で劣位に立っている可能性も示唆する調査結果だ。(編集担当:久保田雄城)