政府は「敵基地攻撃能力」(反撃能力)の保持を含めた「新たな国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」の3つの文書を16日、閣議決定した。これを受け、岸田文雄総理は記者会見で、その必要性を強くアピールした。
特に「敵基地攻撃能力」について、岸田総理は「極超音速滑空兵器や変則軌道で飛しょうするミサイルなどミサイル技術は急速に進化している。一度に大量のミサイルを発射する飽和攻撃の可能性もある。こうした厳しい環境において、相手に攻撃を思いとどまらせる抑止力となる反撃能力は今後不可欠となる能力」と主張した。
また防衛力強化のための予算に関し「今後5年間で緊急的に防衛力を抜本的に強化するため、43兆円の防衛力整備計画を実施する。2027年度には、抜本的に強化された防衛力とそれを補完する取組みを合わせて、GDP(国内総生産)の2%の予算を確保する」とした。
岸田総理は会見で「国民の命、暮らし、事業を守り抜く上で優先されるべきは、我が国にとって望ましい国際環境、安全保障環境をつくるための外交的努力」と当然、外交努力の重要性を上げ「今後とも自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値を重視しつつ、日米同盟を基軸とし、多国間協力を推進する、積極的な外交を更に強化していく」と述べた。
また防衛力が「外交には裏付けとなる」とし「防衛力の強化は外交における説得力にもつながる」と主張した。
岸田総理は防衛力強化の上で新たな能力を備える必要があるとして(1)反撃能力=敵基地攻撃能力=の保有(2)宇宙・サイバー・電磁波等の新たな領域への対応能力(3)南西地域の防衛体制の強化をあげた。
特に南西地域の防衛体制強化策には南西地域の陸上自衛隊の中核となる部隊を倍増するとともに、日本全国から部隊を迅速に展開するための輸送機や輸送船舶を増強する。さらに尖閣諸島を守るための海上保安庁の能力増強や防衛大臣による海保の統制要領を含む自衛隊との連携強化といった取組みも進めるとした。(編集担当:森高龍二)