安倍晋三総理の施政方針演説や麻生太郎財務大臣による財政演説、岸田文雄外務大臣による外交演説などを受けて、週明けから各党代表者らによる国会論戦が始まるが、日銀総裁人事やTPP交渉参加の是非、普天間問題、北方領土、竹島、尖閣をめぐる問題、安全保障の中でのF-35戦闘機の部品を国内企業が製造参加する武器輸出三原則の例外扱いなど、活発な議論を要する案件が山積している。また、今国会中に議員定数削減を含む選挙制度改革が実現するのか、国会後半では、大きな争点になりそう。
岸田外相による外交演説では、4月の日露首脳会談を踏まえ、北方領土問題はじめ天然ガスなどのエネルギー対策で重要なパートナーになりうるロシアについては「戦略的な視点に立ち、地域のパートナーとしてふさわしい関係を構築したい」とした。
特に「安全保障、経済等あらゆる分野における協力の進展に向けて努力する」とし「両国間の最大の懸案である北方領土問題については両国の立場に依然として大きな隔たりがあるが四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結すべく、解決に向けて粘り強く取り組む。また総理訪露を日露関係の発展に新たな弾みを与えるものとしたい」とした。日露関係ではロシアのエネルギー相と茂木敏充経済産業相との会談に向けた調整されている。
一方、尖閣問題をめぐり緊張状態が続く中国との関係では「最も重要な二国間関係の一つである」として「大局的な観点から戦略的互恵関係を推進していく」とした。
ただ「軍事力増強や周辺海域での海洋活動の活発化は地域の懸念事項」とし「尖閣諸島は歴史的にも国際法上も日本固有の領土であり、現に日本はこれを有効に支配している。尖閣諸島をめぐり解決すべき領有権の問題はそもそも存在しない。我が国の領土・領海・領空は断固として守り抜くとの決意で冷静に取り組みつつ、中国側には意思疎通を通じて、事態をエスカレートさせないよう自制を強く求めていく」とこれまでの政府姿勢を改めて示した。
竹島をめぐり、こちらも関係がギクシャクする韓国に対しては「日本と共に歩むパートナー」と位置付け「個別の問題が全体を損なうことがないよう大局的な観点から未来志向で重層的でより強固な日韓関係を構築していく」と述べた。
また「日韓間の貿易・投資や第三国における日韓企業間の協力の促進など経済関係も一層強化する」とし「竹島問題は一朝一夕に解決する問題ではないが、韓国側に対して受け入れられないものについては受け入れられないとしっかり伝え、粘り強く対応していく」姿勢を強調した。政府としては北朝鮮問題も踏まえて、韓国は基本的価値や平和・繁栄の利益を共有するパートナーとして、関係の構築・強化に努めたい考えだ。(編集担当:森高龍二)