iBookstoreの日本提供開始で役者の揃った電子書籍市場

2013年03月07日 08:12

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アップルが、iBookstoreを日本でオープンすると発表した。

 アップルが、iBookstoreを日本でオープンすると発表した。講談社、角川書店、文藝春秋、学研、幻冬舎を含む、大手および独立系出版社の作品の配信開始。池波正太郎、赤川次郎、あさのあつこ、村上龍など、幅広いセレクションの作品を揃えており、正式な取り扱い冊数は公表されていないものの、一部報道では数万点もの作品が閲覧可能とのこと。

 世界51カ国で提供されているiBookstore。iPhone、iPad、iPodtouch用のアプリケーションiBooksは、世界で1億3000万ダウンロードを記録している。

 iBookstoreで提供される電子書籍は、ページを1枚ずつページずつフリックで捲る、縦のスクロールだけで読むなど、読み方の自由度や、黒地に白い文字が表示される夜間モードも用意されていることが特徴となっている。また、iCloudに本を保存することで、どのデバイスで購入したかに関わらず、手元にあるデバイスで読むことができる。そのため、例えば、朝の通勤電車でiPhoneを使って途中まで読んだ物語の続きを、ベッドに入ってiPadで読む、などといったことが可能である。

 さらに、購入した本が新規または追加のコンテンツとともに改訂された場合、iBooksがそれを通知し、改訂されたバージョンを無料でダウンロードすることができる。そのほか、本だけでなく、PDFファイルもまとめて保存でき、パソコンにあるPDFをiOSデバイスにシンクすることもできるという。

 iBookstore限定のコンテンツ、iBookstoreならではの効果も多々容易されており、例えば村上龍の小説「心はあなたのもとに」では、より深く物語の世界に入り込めるようにインタラクティブなメールが各章に盛り込まれており、また、荒木飛呂彦の「ジョジョの奇妙な冒険」のカラー版PART4は、iBookstore限定での配信である。

 2010年に「電子書籍元年」と呼ばれてから2年、ようやく昨年になってコンテンツや端末が充実をはじめ、本格普及が始まった日本の電子書籍市場。今回のiBookstoreの日本での提供開始で、役者が揃ったといったところであろう。iPhoneやiPadなど端末はすでに普及しており、専用端末を必要とするような他の電子書籍よりも有利な展開が見込まれる。となると、市場内での淘汰が早晩始まるのではないだろうか。提供各社がどういったサービスや展開でこの競争を生き残るのか、注目が集まるところであろう。(編集担当:井畑学)