今回のニュースのポイント
人事院が公表した令和7年度の苦情相談では、相談事案数は1,158件と前年度からほぼ横ばいでした。内容ではハラスメント関係が397件で全体の3割超を占め、勤務時間・休暇・服務、任用関係が続きました。人事院は相談体制の強化を進めていますが、数字からは国家公務員も民間企業と同様に、人間関係や職場環境に悩みを抱えている実態が浮かび上がります。
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人事院が取りまとめた令和7年度における苦情相談の状況によると、年間に受け付けた相談事案数は1,158事案となり、前年度の1,185事案から27事案減少(2.3%減)してほぼ横ばいで推移しました。大幅な減少を見せた前年度に比べると減少幅は鈍化しており、依然として毎年1,000事案を超える高い水準で推移しています。また、同一人物からの複数回相談等を含む延べ相談件数は1,431件と前年度比で10.5%減少したものの、数多くの職員が職場で何らかの不満や疑問を抱えている状況に大きな変化は見られません。相談事案数の微減という数値だけでは、「職場から悩みがなくなった」と判断することはできないのが実情です。
相談内容の内訳において最も大きな割合を占めたのは、「ハラスメント関係」で397事案となり、全体の34.2%と3割を超えています。このうち、「パワー・ハラスメント、いじめ・嫌がらせ」に関するものが363事案(全体の31.3%)と圧倒的な多数を占めており、セクシュアル・ハラスメント(29事案)や妊娠・出産・育児・介護に関するハラスメント(5事案)を大きく上回っています。職務上の指導と適正な範囲を超えた言動との境界線や、人間関係のこじれに起因する問題が、官公庁の現場においても深刻な苦情として表面化している実態がうかがえます。
ハラスメントに続いたのは、「勤務時間・休暇・服務等関係」の264事案(22.8%)や、人事配置や昇進などを巡る「任用関係」の152事案(13.1%)でした。一般に国家公務員に対しては「身分が安定している」「制度や手当が手厚く保障されている」といった固いイメージが抱かれがちですが、実際に寄せられる苦情の多くは上司や同僚との人間関係、過度な業務負担、人事異動に対する不満など、民間企業の労働者が抱える悩みと驚くほど共通しています。さらに、常勤職員からの相談(949事案)のみならず、非常勤職員からも年間209事案の相談が寄せられており、雇用形態を問わず組織で働く上でのストレスが広く存在していることが分かります。
こうした状況を受け、人事院では「悩みの早期解消」に向けた取組の強化を進めています。Web上の苦情相談ページやメール申込みページへのFAQ(よくある相談と回答)の新設や、各府省の相談窓口との連携強化、動画教材を活用した相談員の能力向上などが実施されています。実際に苦情相談ページの令和7年度の閲覧数は6万1,229件に達しており、事前に情報を確認して解決を図ろうとする職員のニーズの高さが示されています。ただし、相談窓口やFAQといった「受け皿」を整備するだけで、周囲の目を気にして自ら声を上げられない職員の悩みをすべて汲み取れるわけではありません。
苦情相談事案数がわずかに減ったこと自体は一見すると前進に思えますが、真に問われているのは「相談件数の減少」ではなく「安心して働ける職場環境の構築」です。むしろ相談しやすい体制が整ったことで潜在的な問題が表に出る場合もあり、数値の上下だけで判断することはできません。「国家公務員も組織で働く一人の人間である」という当たり前の事実を、今回のデータは改めて提示しています。国民向けの行政サービスを末端で支える職員が健全かつ安心して働ける環境を整えることは、単なる公務員労働者の保護にとどまらず、行政の質そのものを維持・向上させるための不可欠な課題と言えます。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













