SDGsは定着期へ 実践企業は増加も新規参入は鈍化

2026年07月23日 16:23

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フィスビルが立ち並ぶ都市部のイメージ。帝国データバンクの調査では、SDGsへの取り組みは企業経営に定着する一方、新規参入は鈍化し、普及から定着の段階へ移りつつある実態が示された。(画像:イメージ)

今回のニュースのポイント

帝国データバンクの調査によると、「SDGsに前向き」な企業は52.6%と2年連続で低下した一方、「意味や重要性を理解し、取り組んでいる」企業は30.3%と過去最高を更新しました。企業の間ではSDGsが経営活動として定着する一方、人手不足やコスト増を背景に新たな取り組みを始める企業は減少しており、SDGsは普及拡大から「選別」の段階へ移りつつあります。

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 帝国データバンクが2026年7月23日に発表した「SDGsに関する企業の意識調査(2026年)」によると、「SDGsに前向き」と回答した企業の割合は前年比0.7ポイント減の52.6%となり、2年連続で低下しました。一見するとSDGsへの勢いが弱まったようにも見えますが、詳細を見ると異なる側面が浮かび上がります。「意味および重要性を理解し、取り組んでいる」と回答した実践企業の割合は前年比0.1ポイント増の30.3%となり、2020年の調査開始以来で過去最高を更新しました。一方で、「取り組みたいと思っている」意向層は同0.8ポイント減の22.3%へ減少しています。新たに参入しようとする企業の勢いは鈍化しているものの、すでに実践している企業では取り組みが定着しつつあり、SDGsは普及の拡大局面から、定着と選別の局面へ移行しつつある状況がうかがえます。

 新たにSDGsへ取り組もうとする企業が減少傾向にある背景には、企業を取り巻く経営環境の厳しさがあります。原材料価格やエネルギーコストの上昇、人件費の高騰といったインフレの影響に加え、深刻な人手不足への対応が最優先課題となっており、SDGsへの新たな取り組みに資金や人材といった経営資源を割く余裕が失われつつあります。特に中小企業や小規模事業者においては、推進を担当する人材の不足や活動コストの負担が壁となっており、「理念は理解できるものの、日々の事業継続への対応が優先され、手が回らない」といった実態が調査からも示されています。SDGsへの取り組み意欲が低下したというよりも、厳しい経済環境が新規参入の制約要因として作用しているとみられます。

 一方で、すでにSDGsに取り組んでいる企業の47.8%は何らかの成果を実感しています。その具体的な成果を見ると、「売り上げが増加した」(5.1%)や「取引が拡大した」(5.0%)といった直接的な業績向上以上に、人材や組織運営に関する項目が上位を占めています。最も高かったのは「従業員満足度が向上した」の16.4%で、次いで「経営方針等が明確化された」(11.6%)、「従業員の定着率が上がった」(8.9%)と続いています。SDGs17目標のうち企業が現在力を入れている項目を見ても、「働きがいも経済成長も」(33.3%)が最多となっており、SDGsが単なる社会貢献活動にとどまらず、働きやすい職場環境の整備や人材定着を図るための経営手法として活用されている姿が示されています。

 取り組みの成否を分けるポイントとして、本業である事業活動とSDGsとの接続が挙げられます。調査に寄せられた企業のコメントでも、空調設備の点検や省エネ提案を通じて新規受注につなげた企業や、未利用資源の有効活用を本業の柱に据えた企業では、活動が好循環を生んでいます。これに対し、「SDGs宣言」を作成したものの実際の企業活動とリンクしておらず、目に見えた効果を感じられないという声も上がっています。単に宣言を発したり、独立した社会貢献活動として掲げたりするだけでは継続性や成果を得にくく、省エネルギーや生産性向上、人材確保といった自社の具体的な経営課題に組み込めるかが定着の条件となっています。

 今回の調査結果は、日本企業におけるSDGsの取り組みが「認知や理解を広げる普及期」から「経営の現実に即して実行する定着期」へと移行したことを物語っています。いずれかの目標に力を入れる企業の割合は72.0%と調査開始以来初めて減少に転じ、取り組みの広がり自体には一服感が見られるものの、実践企業では着実に経営基盤の一部として定着し始めています。今後は、単に理念を掲げることにとどまらず、人手不足やコスト高といった経営課題の解決と社会的成果をいかに両立させ、日々の事業活動へ組み込めるかが、企業の取り組みを左右するポイントになりそうです。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)