オンラインカジノ対策は新たな段階へ 依存症対策と一体で進む政府の包括対策

2026年07月28日 12:01

首相官邸1

政府はオンラインカジノ対策について、違法サイトへのアクセス抑止や決済対策に加え、依存症の予防、相談・医療支援までを組み合わせた包括的な対策を進めています。関係省庁が連携し、教育や啓発を含めた総合的な取り組みを推進しています。(写真は首相官邸)

今回のニュースのポイント

政府はオンラインカジノ対策を強化する一方で、ギャンブル等依存症対策も一体的に進めています。違法サイトの摘発やアクセス抑止の議論にとどまらず、学校教育やSNSを通じた普及啓発、相談窓口や専門医療機関の整備などを組み合わせ、依存症の予防から回復支援までを含めた総合的な政策を推進しています。

本文
 違法オンラインカジノをめぐる政府の対応が、新たな局面を迎えています。

 総務省は2026年7月22日、有識者による「オンラインカジノに係るアクセス抑止の在り方に関する検討会」の報告書を公表しました。同じく7月には内閣官房から「ギャンブル等依存症対策推進基本計画」の進捗状況が示されました。政府はこれまで、警察による摘発や違法性の周知を進めてきましたが、現在は通信・決済対策から依存症の予防・治療支援までを組み合わせた包括的な政策を強化しています。

 オンラインカジノが深刻な社会問題となっている背景には、その特殊な性質があります。

 海外で合法的に運営されているサイトであっても、日本国内から接続して賭博を行う行為は賭博罪等に該当する違法行為です。しかし、スマートフォンなどから24時間容易にアクセスできる環境に加え、SNS上で誘導広告が表示されることなどから、若年層やカジュアルユーザーが違法性を十分に認識しないまま利用するリスクがあります。多額の借金など経済的な問題に加え、日常生活や家族関係にも深刻な影響を及ぼすおそれが指摘されています。

 こうした状況を受け、政府資料では、捜査や摘発に加え、予防や相談支援などを組み合わせた包括的な対策の必要性が示されています。

 海外に拠点を置く運営者の直接的な処罰には国際捜査上のハードルが存在することから、警察庁による国内の決済代行業者やアフィリエイター等の摘発、金融機関やクレジットカード会社による決済停止措置(支払抑止)が進められています。それと並行して重点が置かれているのが、依存症に陥る手前で食い止める「未然予防」です。

 報告資料によると、文部科学省による高等学校での指導や「依存症予防教室」、金融庁と金融経済教育推進機構(J-FLEC)による出張授業、警察庁や消費者庁によるYouTube・SNS・街頭ビジョンを活用した動画配信など、多角的な啓発活動が展開されています。違法性を周知するだけでなく、お金や行動のリテラシーを高める教育を通じて、若年層が不用意にアクセスしない環境づくりが進められています。

 また、万が一のめり込んでしまった場合に対応する「相談・医療支援体制」の拡充も、依存症対策の重要な柱です。

 政府の報告によると、全国すべての都道府県および政令指定都市(計67団体)において依存症の相談拠点の設置が完了しています。さらに、専門的な医療を提供する「依存症専門医療機関」は62団体、治療や研修を担う「依存症治療拠点機関」は全47都道府県で指定が進んでいます。依存症対策においては、当事者本人だけでなく、生活を共にする家族への支援も欠かせません。公営競技やぱちんこ業界における「家族申告による利用制限」の導入拡大や、自治体・専門機関における家族相談窓口の強化、家族教室の実施など、世帯全体を孤立させないサポート網の構築が推進されています。

 政府資料を見ると、オンラインカジノ対策は通信や警察だけの課題ではなく、教育、金融、医療、地方自治体など幅広い分野が関わる政策へと広がっています。

 総務省の検討会報告書では、通信の秘密や知る自由との均衡に配慮しつつも、若年層やカジュアルユーザーを保護する観点から、アクセスブロッキング(遮断)を含むアクセス抑止策の有効性や法的課題について引き続き検討を行う姿勢が示されました。

 単一の省庁や法執行だけに頼るのではなく、違法サイトへのアクセス制限や決済遮断といった「入口対策」と、教育・啓発による「予防」、そして相談・医療による「回復支援」を組み合わせた統合的なアプローチへ移行しつつあります。政府は今後も、法整備や技術的な検討を進めながら、オンラインカジノ対策と依存症対策を組み合わせた包括的な対策を進めていく方針です。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)