LNG運搬船と受入基地のイメージ。IEAによると、2026年3~7月のカタールとUAEからのLNG積み出し量は前年同期比で430億立方メートル減少した。IEAは今後のガス安全保障策として、既存のLNG船を活用した戦略的な洋上備蓄などの検討を提言している。(画像はイメージ)
今回のニュースのポイント
経済産業省と国際エネルギー機関(IEA)は9月11日、東京で「LNG産消会議2026」を開催しました。20カ国から官民約340人が参加し、LNGの安定供給や備蓄、技術革新などを議論しました。背景にあるのは、2026年の中東緊迫に伴うホルムズ海峡を通じた供給混乱です。IEAの分析によると、2026年3~7月のカタールとアラブ首長国連邦(UAE)からのLNG積み出し量は前年同期比で430億立方メートル減少しました。北米やアフリカなどの増産で減少分の約3分の2を補ったものの、同期間の世界のLNG生産量は約6%減少しました。
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経済産業省と国際エネルギー機関(IEA)は2026年9月11日、エネルギー安全保障とLNGの信頼性確保をテーマとした「LNG産消会議2026」を共同開催しました。2022~23年の欧州エネルギー危機に続き、2026年のホルムズ海峡を巡る地政学的緊張によって世界のガス供給基盤が再び揺らぐなか、次なる危機へ向けた備えが論点となりました。
IEAが会議に合わせて公表した分析資料によると、2026年3~7月におけるカタールとアラブ首長国連邦(UAE)からのLNG積み出し量は、ホルムズ海峡の混乱に伴い前年同期比で430億立方メートル減少しました。この減少量は、日本の2025年における年間天然ガス消費量のほぼ半分に相当します。北米やアフリカなどの湾岸地域外で約300億立方メートル(約15%増)の増産が行われ、減少分の約3分の2が補われたものの、3~7月の世界全体のLNG生産量は前年同期比で約6%(約140億立方メートル)減少しました。
供給の制約は市場価格にも直結しました。アジアのLNGスポット価格指標(Platts JKM)の3~7月平均は100万BTU(英国熱量単位)当たり18.5ドルを超え、前年同期比で約50%上昇し2022年以来の高水準を記録しました。欧州のTTFスポット価格も平均16.5ドルと37%上昇しました。価格高騰と需給逼迫により、日本の天然ガス需要は3~6月に前年同期比4%減少しました。IEAの分析によると、特に発電部門のガス使用量が10%減少する一方、高価格に伴う代替として石炭火力発電が7%増加したと指摘されています。同期間のアジア全体のガス需要も3%減少し、パキスタンで20%超減、インドで8%減となりました。
今後の見通しについてIEAは、ホルムズ海峡を通じたLNG供給の混乱が長期化した場合、2026年の世界LNG貿易量が2012年以来初めて年間で減少する可能性があると予測しています。またIEAは、中東危機によって新たなLNG供給拡大の本格的な効果が約2年遅れると分析し、2026~30年の累積LNG供給損失を約1500億立方メートルと推計しています。
こうした事態を受けIEAは、今後のガス安全保障策として地下貯蔵施設やLNGタンクの活用に加え、政策的な柔軟性を組み合わせた新たな枠組みを提言しました。具体策として、既存のLNG船を活用した「戦略的洋上備蓄」、国境を越えた共同備蓄、LNGスワップの拡大、複数国で購入権を共同確保する仕組みなどの検討を求めています。石油のような一律の緊急放出制度をそのまま適用できない天然ガスにおいて、各国の地理的・商業的条件に応じた自主的備蓄制度の構築を促す趣旨です。
会議では日本主導の緊急支援枠組みも発表されました。JOGMECとマレーシア国営石油会社PETRONASが緊急時におけるLNGの安定供給連携枠組みに合意したほか、日本とモンテネグロ政府間でのエネルギー協力覚書の締結が披露されました。閣僚級セッションで赤澤経済産業大臣は、供給源の多角化、市場の拡大、緊急時への備えの重要性を強調しました。
2022~23年の欧州危機、そして2026年のホルムズ危機を経て、LNG市場の強靭化が改めて問われています。今回の危機では、北米やアフリカなどからの供給増がカタールとUAEからの減少分の約3分の2を補ったものの、世界全体のLNG生産減少を完全には相殺できませんでした。既存のLNG船を活用した洋上備蓄や国際的な緊急供給体制を巡り、供給網の強靭化に向け、こうした政策オプションの実現可能性や費用、運用方法を今後どのように検証していくかが焦点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













