GMOはなぜ「AIホワイトハッカー」を開発したのか AI時代のサイバー防御へ

2026年07月28日 13:03

gmoイメージ

生成AIの進展を背景に、サイバー攻撃と防御の双方でAIの活用が広がっている。GMOサイバーセキュリティ by イエラエは、AIとホワイトハッカーの知見を組み合わせたセキュリティ特化AI基盤を構築し、防御技術の高度化を進める方針だ。(画像はイメージ)

今回のニュースのポイント

GMOサイバーセキュリティ by イエラエは、サイバーセキュリティに特化したAI基盤「AIホワイトハッカー byGMO」を構築しました。AIとホワイトハッカーの知見を組み合わせ、脆弱性診断やペネトレーションテスト、攻撃の検知・監視、インシデント対応まで幅広い分野で活用する方針です。生成AIの進展により、サイバー攻撃と防御の双方でAI活用が進みつつあります。

本文
 GMOインターネットグループのGMOサイバーセキュリティ by イエラエは2026年7月27日、最先端のAIモデル(フロンティアAI)と世界トップクラスのホワイトハッカーが持つ知見を組み合わせた、サイバーセキュリティ特化型AI基盤「AIホワイトハッカー byGMO」を構築したと発表しました。

 この基盤は単一の製品ではなく、今後の研究成果やサービス展開の中核となる技術基盤です。同社は本基盤を活用し、システムの欠陥を洗い出す「脆弱性診断」や、実際の攻撃を模して侵入リスクを検証する「ペネトレーションテスト」、さらにはサイバー攻撃の検知・監視やインシデント(事故)対応といった高度な防御領域まで、機能を順次展開していく計画です。

 同社が今回、セキュリティ特化型AI基盤の構築に踏み切った背景には、生成AIをはじめとする大規模AIモデルの急速な進化があります。

 これまで熟練した専門技術者の手作業や高度な解析に依存していたシステムの脆弱性発見や解析作業が、AIの台頭によって一気に高速化し始めています。2026年4月には、米Anthropic(アンソロピック)社が「Claude Mythos Preview」を発表し、主要OSやブラウザ、オープンソースソフトウェアから多数のゼロデイ脆弱性(未公表の欠陥)を洗い出したと公表しました。

 この事例は、AIが脆弱性発見の能力向上に活用され始めていることを示す一例です。AIを単なる脅威やリスクとして警戒するだけでなく、防御側の力としていかに活用できるかが重要な課題となっています。

 「AIホワイトハッカー byGMO」の大きな特徴は、処理をAIだけに任せるのではなく、人間であるホワイトハッカーの知見と協働させる設計にあります。

 同社は、国際的な脆弱性発見コンテスト「Pwn2Own Berlin 2026」においてMicrosoft Windows 11のゼロデイ脆弱性を発見・実証するなど、国際的な実績を有しています。こうした実戦で培われた最新の攻撃手法や検証ノウハウを、独自に開発した制御の仕組み(ハーネス)を通じてAIモデルへ継続的にフィードバックすることで、一般的な汎用AIモデルだけでは再現や検出が難しい高度な診断精度を目指しています。

 また、日本のセキュリティ現場の実情に合わせたサービス設計や、機微なデータを国内にとどめて運用できるよう、GMOグループが国内に持つインフラストラクチャー上での構築を可能としている点も特徴です。

 この取り組みは、従来のサイバーセキュリティの対応を「事前予防型」へ発展させる方向性を示しています。

 今後は、既存の診断サービスへAIエンジンを統合し、従来の手法では検知が困難だった未知の脆弱性を発見する新たな診断モデルへの進化や、AIの網羅性とホワイトハッカーの高度な判断力を掛け合わせた体制の確立が進められます。攻撃を受けてから対処するのではなく、AIを活用して継続的にリスクを分析し、予防的な対策を目指す体制への移行が進みつつあります。

 生成AIの普及に伴い、サイバーセキュリティの領域では攻撃・防御の双方で技術の活用が進んでいます。企業にとっては、業務効率化のためにAIを導入することに加え、AI時代に対応したセキュリティ体制を構築できるかが重要な要素となりつつあります。

 AIの進展は、サイバー攻撃と防御の双方に大きな変化をもたらしています。今回のGMOサイバーセキュリティ by イエラエの取り組みは、AIと専門人材の知見を組み合わせて防御力を高めようとする新たな方向性を示したものです。今後は、AIを業務効率化だけでなく、企業のデジタル基盤を守るための技術としてどう活用していくかが、企業の重要な経営課題の一つとなりつつあります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)