ドローンをはじめとする各種ハードウェア・ソフトウェア事業を展開するテラドローン株式会社は2026年9月14日、防衛用ドローン向けに自社開発した国産フライトコントローラー「Terra DFC」の量産体制を整えたと発表しました。
フライトコントローラーは、ドローンの姿勢制御、モーター駆動、センサー情報処理、飛行経路の制御などを統合して担う「頭脳」にあたる中核構成部品です。開発された「Terra DFC」は、飛行に必要な制御機能を1枚の基板上に小型かつシンプルに集約し、量産機への搭載を見据えた設計を採用しました。同社によると、国内で自社開発・生産体制を組むことで、機体仕様に応じた柔軟な機能改修や通信・センサー機器との連接、量産時の品質管理や保守対応に迅速に対応できるとしています。
背景には、国内ドローン産業における重要構成部品の海外依存という課題があります。経済産業省の公表資料などによると、国内で完成機を組み立てる場合であっても、フライトコントローラーやモーター、ESC(電子速度制御器)、バッテリー、通信モジュールといった中核部品の多くを海外調達に頼る構造が確認されており、無人航空機は経済安全保障推進法に基づく「特定重要物資」にも指定されています。テラドローンは経済産業省資料を基に、国内の産業用途ドローン市場では約9割を海外製が占めているとしています。
こうした課題に対し、政府の官民投資ロードマップ案では供給基盤の構築目標が掲げられています。経済産業省の試算によると、2030年における国内無人航空機の需要全体は年間約14万台と見込まれており、政府は2030年に、点検・物流・防犯用途を中心とする約8万台の無人航空機と、その生産に必要な重要部品の供給力確保を目指しています。8万台の機体生産に必要な重要部品について、フライトコントローラー8万台相当、モーター・ESC最大48万台相当、バッテリー最大40万台相当などの供給確保体制の構築を目指しています。経産省資料では、構築した完成機・部品の供給力を同盟国・同志国とのサプライチェーン協力にも活用するとしています。また、政府の官民投資ロードマップ案では、民生分野で2030年時点に8万台の機体・重要部品の供給を確保し、この基盤を防衛分野でも活用する方針が示されています。
今回開発された「Terra DFC」は、同社が防衛省向けに納入を予定している「汎用型防衛ドローン」への搭載が予定されているほか、テラドローンは今後、迎撃、偵察、重要インフラ防護などの多様な防衛用途への応用も視野に入れるとしています。同社はすでに国産バッテリー事業にも着手しており、制御系と電源系の双方で国内供給網の確立を目指す方針です。なお、今回の発表において、個別の年間生産能力や具体的な納入数量、製品価格などは明らかにされていません。
国内の無人航空機産業では、完成機の組み立てだけでなく、飛行制御や駆動系といった重要部品の国内供給網をいかに確立するかが経済安全保障上のテーマとなっています。政府が2030年に向けて特定用途向けに約8万台規模の供給確保体制を目指すなか、テラドローンは飛行制御を担うフライトコントローラーを自社開発し、国内で量産可能な体制を整えました。防衛省向け機体への実装を経て、同社の取り組みがどのような生産・供給規模へと進展するかが今後の焦点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













