G7、サイバー攻撃後の「再接続」手順を技術面で具体化 企業復旧の国際的な実務指針を公表

2026年08月05日 06:51

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サーバーやネットワーク機器のイメージ。G7サイバー専門家グループは、サイバー攻撃を受けた組織が安全に取引先や金融インフラとの接続を再開するための技術的ベストプラクティスを公表した。(画像はイメージ)

今回のニュースのポイント

G7のサイバー専門家グループ(G7 CEG)は、サイバー攻撃を受けた金融機関や事業会社が、取引先や金融インフラとの接続を安全に再開するための技術的ベストプラクティスをまとめた「再接続フレームワーク技術付属文書」を公表しました。日本の金融庁、財務省、日本銀行なども参加しており、切断(Disconnection)から完全復旧(Recover)まで6段階のプロセスを明示。被害組織が責任者の署名入り保証書(Attestation)等で安全性を証明した上で、段階的に業務を再開する実務的アプローチを提示しています。

本文
 G7サイバー専門家グループ(G7 CEG)は、重大なサイバーインシデントに見舞われた組織が、遮断されたネットワークや取引システムへ安全に復帰するための実務指針「再接続フレームワーク技術付属文書(Reconnection Framework Best Practice Technical Annex)」を公表しました。本指針の策定には日本の金融庁、財務省、日本銀行をはじめ、G7各国の金融当局や中央銀行が参画しています。ランサムウェア(身代金要求型ウイルス)感染や大規模なシステム障害が相次ぐ中、単に自社システムを復旧させるだけでなく、「ネットワークで繋がる他社や市場に二次被害を与えずどう再接続するか」という課題に対し、国際的に共通する技術的アプローチが具体化されました。

 今回の指針では、従来の復旧プロセスに先立ち、被害の拡大や二次感染を防ぐための「Phase 0:Disconnection(切断)」を正式な手順として位置付けた点が大きな特徴です。その上で、「Phase 1:Assess(被害評価)」「Phase 2:Remediate(復旧・修復)」「Phase 3:Assure(安全性の保証)」「Phase 4:Reconnect(再接続)」「Phase 5:Recover(完全復旧)」という計6段階の標準アプローチを提示しています。切断の実務においては、物理的な回線遮断だけでなく、特定のデータ通信のみを停止する「Pause traffic」や、アクセス権限のみを一時剥奪する「Suspend connection access」など、事業影響とサイバーリスクの双方を勘案した柔軟な対応手段が盛り込まれました。

 実務上で最も大きな影響を与えるのが、再接続の前提となる「Phase 3:Assure(安全性の保証)」の標準化です。攻撃を受けた企業が単に口頭や曖昧な報告で「安全になった」と主張するだけでは不十分とし、自社のセキュリティ責任者等が署名した「保証書(Attestation)」を相手方に提示する枠組みを示しました。この保証書には、攻撃の根本原因やマルウェアの排除状況、データの完全性検証結果、未完了のリスク事項などが明記されることとなり、接続先企業が客観的根拠に基づいて再接続を判断できる環境を整えます。

 さらに、実際の再接続(Phase 4)段階では、一気に全システムを通常稼働に戻すリスクを避け、テスト環境や時間外での「低額のテスト取引(low-value test transactions)」、データの整合性チェック、高度な監視体制(Heightened monitoring)を伴う段階的移行(Ramping up)を推奨しています。これにより、取引データの不整合や潜伏する脅威による再障害のリスクを最小限に抑え込む手法が明確になりました。

 本指針は主に金融機関や金融市場インフラを対象として想定されていますが、クラウド事業者やITベンダーといった第三者サービス提供者(サードパーティ)の実務にも活用できる内容となっています。義務的な規制ではなく、各国の官民が参照すべき「ベストプラクティス(自発的ガイドライン)」という位置付けですが、G7当局が共通の技術基準を示した意義は大きく、今後は金融機関のサードパーティリスク管理やサプライチェーン全体のサイバーレジリエンス評価における国際的な実務上の共通指針として活用が進むかが注視されます。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)